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河井前法相の公職選挙法違反事件

弁護士の佐藤です。

 

さて、先日、公職選挙法違反の罪で公判中の河井克行前法相が、弁護人全員を解任したとのニュースが。

 

報道によれば、保釈請求がみとめられず、審理日程が過密なことから、十分な公判準備ができず、防御権が守られないなど話していたとのこと。

 

因みに、現在行われている裁判、ご存知の方も沢山いらっしゃると思いますが、百日裁判といって、連座制などの適用が想定される選挙違反事件の審理を迅速に進めることを目的に公職選挙法で定められ、裁判所は起訴から30日以内に初公判を開き、100日以内に判決を出すよう努めなければならないとされています。

 

これは、裁判が長引くことで当選した候補者の任期中に結論が出ず、連座制などの効果が失われるのを避けるのが目的とされています。

 

 

もっとも、この規定は努力規定で、100日後の判決でも効力に影響するわけではなく、河井前法相の裁判も、100人以上の証人尋問を予定しているため、すでに、審理予定期間は、優に100日を超えることとなっています。

 

とはいえ、法の規定の手前、過密な審理日程となっているのでしょうが。

 

因みに、刑事訴訟法では、法定刑の上限が3年を超える懲役・禁固にあたる事件を審理する場合、弁護人がいなければ公判を開けないこととなっており、審理中の加重買収罪はこれにあたることから、弁護人があらたに選任されない限り、公判を開けません。

 

また、100人以上の証人尋問を予定しているため、当然ながら、記録も膨大で、新たな弁護人が記録を読み込み、弁護活動の方針をたてるまで、相当な時間を要することが予想されるので、判決まで、当初の予定より、かなり遅延することになると思われます。

 

 

わたしは弁護士なので、保釈を認めてもらい、公判に向けて、被告人と十分な公判準備をしたい気持ちはよくわかりますが、否認事件で、これだけの証人がいる事案では、どんな優秀な弁護士が選任されても、現実的に、当面、保釈は認められないでしょうね・・・。

 

 

なにはともあれ、今後の裁判の動きに注目したいところです。

 

 

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