駅構内と住居侵入罪

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弁護士の佐藤です。

 

今週もはじまりました。

 

先週から風邪っぴきです。しんどいっす。

 

で、本日も刑法に関する判例のうち、住居侵入罪の成否が問題となった判例をご紹介します。

本日も前回同様、住居侵入罪の客体性が問題となりました。

事案は、被告人らが他の数名と共謀のうえ、昭和51年5月4日午後6時40分過ぎころから、井の頭線吉祥寺駅南口1階階段付近において、同駅係員の許諾を受けないで、多数の乗降客らに対し、ビラ多数を配布し携帯用拡声器を使用して、いわゆる狭山事件被告の救援集会に参加を呼びかける演説等を繰り返したうえ、同駅管理者からの退去要求を無視して約20分間にわたり右階段付近に滞留したため、鉄道営業法35条違反および不退去罪に問われ、いずれも科料3千円および罰金1万円に処せられたというものです。

この点、昭和59年12月18日最高裁判決は、

「鉄道営業法三五条にいう『鉄道地』とは、鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域のうち、直接鉄道運送業務に使用されるもの及びこれと密接不可分の利用関係にあるものをいい、刑法一三〇条にいう『人ノ看守スル建造物』とは、人が事実上管理・支配する建造物をいうと解すべきところ、原判決及びその是認する第一審判決の認定するところによれば、被告人四名の本件各所為が鉄道営業法違反及び不退去の各罪に問われた原判示井の頭線吉祥寺駅南口一階階段付近は、構造上同駅駅舎の一部で、井の頭線又は国鉄中央線の電車を利用する乗降客のための通路として使用されており、また、同駅の財産管理権を有する同駅駅長がその管理権の作用として、同駅構内への出入りを制限し若しくは禁止する権限を行使しているのであつて、現に同駅南口一階階段下の支柱二本には『駅長の許可なく駅用地内にて物品の販売、配布、宣伝、演説等の行為を目的として立入る事を禁止致します京王帝都吉祥寺駅長』などと記載した掲示板三枚が取り付けられているうえ、同駅南口一階の同駅敷地部分とこれに接する公道との境界付近に設置されたシヤツターは同駅業務の終了後閉鎖されるというのであるから、同駅南口一階階段付近が鉄道営業法三五条にいう『鉄道地』にあたるとともに、刑法一三〇条にいう『人ノ看守スル建造物』にあたることは明らかであつて、たとえ同駅の営業時間中は右階段付近が一般公衆に開放され事実上人の出入りが自由であるとしても、同駅長の看守内にないとすることはできない。したがつて、これと同旨の原判断は正当として是認することができる。」

として、建造物侵入罪の成立を認めました。

いくら人が自由に行き来できる場所とはいえ、管理者がおり、夜間は閉鎖される場所である等の事情に鑑みれば、上記判決は妥当といえるでしょう。

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