調べごと

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弁護士の佐藤です。

 

木曜日です。

 

本年度も明日で終わりです。

 

昨日は、静岡県弁護士会で法律相談があったのですが、弁護士であってもすべての法律に精通しているわけではなく、あまり普段目にしない条文に関する法律相談では、その場で即答できないこともたまにはあります。

 

そんな法律相談で一番やってはいけないことは、わかったふりをして、曖昧に答えてしますことです。場合によっては弁護過誤にもなることです。

 

で、昨日の法律相談で、久しぶりにそんなご相談を受けました。

 

で、わからないとだけ答えればいいというわけでは当然なく、そのような場合には、一度事務所に持ち帰って、調べて上で、後日お電話にてご回答するようにしております。

 

せっかく弁護士会まで来て頂いて申し訳ない気持ちはありますが、謝った情報を伝えるよりはよっぽどよいと思っております。

 

それで、昨日色々調べたので、せっかくなので簡単にそのご説明を。

 

労働問題に関するご相談でしたが、労働基準法16条は、

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は、損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 

と規定しています。

 

これは、契約期間の途中での労働者の逃亡や退職に違約金を課すといった方法で労働者の人身を拘束し、その退職の自由を制約することを禁止しようとする趣旨です。違約金制度による人身拘束がかつて女工や年少者などにもたらされた弊害を除去する目的で、戦前にすでに存在した工場法施行令24条を引き継いだものとされています。

本条は、また、人身拘束の程度に至らない場合でも、使用者に一方的に有利な労働者には過大な負担を課すような契約条項となるおそれがあることから、違約金及び損害賠償額の予定を全面的に禁止しているのです。

 

このような趣旨からして、例えば、これを労使間の協定によっても取り決めで損害賠償額の予定をすることはできないものといわれています。

 

もっとも、誤解されやすいのが、これは、実際に損害は発生した場合に、使用者は労働者に損害賠償請求をすることまで禁止したものではありません。

 

労働者の過失により損害が発生した場合、使用者は、労働者に損害賠償請求をすることは可能ですが、全額を請求できるわけではなく、過失の割合によって、通常使用者が請求できる額は制限されます。

ここでグレーな問題が、上記条文は、損害賠償「額」の予定を禁止しているので、例えば、損害が生じた場合、使用者と労働者が負担する過失割合を決めておくことはできるのかというものです。

 

この点に関しては、参考になる文献はなかったのですが、割合であれば、額の予定ではないので、大丈夫ではないかとういうのが大方の見解でした。

 

まあ、簡単ですが、労基法16条のご紹介でした。

 

弁護士10年やっていますが、まだまだわからないこと、知らないことが沢山あります。

 

たまにたちどまって、勉強だけしたいと思うこともありますが、抱えている事件を放置できる日がくることはないわけで、時間をうまくつかい、勉強して、知識を増やしていかなければいけないと思う今日この頃です。

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