詐欺罪~訴訟詐欺~

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弁護士の佐藤です。

 

今日は少々肌寒いですね。

本日は、長々とやっている裁判の和解期日で、和解に至らなかったということと、これも長々交渉をしてきた事案がようやくまとまったことがあり、なかなか気持ちの整理をつけるのが大変な1日でした。

 

で、夜は、またまた焼津に行きまして、夜間の法律相談です。

 

週の中日は少し疲れがたまっている感じがしてしまいます。

 

あと、

 

 

確定申告が憂鬱です・・・・・・・。

 

で、本日も気を取り直して、刑法に関する判例のうち、詐欺罪に関する判例をご紹介しますが、本日ご紹介する判例は、訴訟詐欺といわれる事案です。

 

訴訟詐欺とは、何ら請求権のない者が裁判所に訴訟を提起し、虚偽の事実を申し向けたり、虚偽の証拠を提出したりして裁判所を欺いて判決を取得し、相手から金員を取ることです。

 

そして、本日の事案は、土地所有者の全く知らない間にその土地の所有権移転登記をし、これを売り渡す形をとつて第三者から金員を騙取したというものです。具体的には、被告人は、被害者の氏名を冒用し、簡易裁判所に内容虚偽の起訴前の和解の申入れをして和解調書を作成させ、これによって被害者の宅地の所有権移転登記をしようと企て、被告人が被害者になりすまして、被害者名義の訴訟委任状等を偽造し、和解調書を作成させ、和解調書正本を登記官吏に登記原因を証する書面として提出し、被害者から被告人に所有権移転登記をさせたというものです。

 

この点、第1審と控訴審は、私文書偽造等の罪の他に、宅地を詐取したとして詐欺罪の成立を認めました。

 

これに対し、昭和42年12月21日最高裁判所判決は、

 

「職権によつて調査するに、原判決が是認した第一審判決は、被告人A、同B、同C、同D、同Fの関係において、G所有の東京都目黒区a丁目b番地の宅地につき、その登記簿に関する公正証書原本不実記載およびその行使の罪の成立を認めたほかに、右被告人らが右宅地を騙取したものとして、これを詐欺罪に問擬しているのである。しかしながら、第一審判決の判示するところによれば、被告人らは、共謀のうえ、前記Gの氏名を冒用し、簡易裁判所に内容虚偽の起訴前の和解の申立をして、和解調書を作成させ、これによつて右宅地の所有権移転登記をしようと企て、被告人Dが右Gの身替りとなつて、弁護士近岡孝吉の面前で、被告人Aと右宅地に関する仮装の取引上の口論をし、同弁護士をして、被告人DがGであると信ぜしめたうえ、同弁護士を訴訟代理人とする旨のG名義の訴訟委任状等を偽造し、同弁護士をGの代理人として日下部簡易裁判所に出頭させて、起訴前の和解の申立をさせ、同裁利所の裁判官の前で被告人Aとの間で、右宅地の所有権移転登記手続をする旨の和解が成立した如く装い、同裁判官をしてその旨誤信させて、右和解条項を記載した和解調書を作成させ、次いで、右和解調書の正本を、登記官吏に登記原因を証する書面として提出し、Gから被告人Aへの右宅地の所有権移転登記手続をなさしめたというのである。ところで、詐欺罪が成立するためには、被欺罔者が錯誤によつてなんらかの財産的処分行為をすることを要すると解すべきところ、本件で被欺罔者とされている日下部簡易裁判所の裁判官は、起訴前の和解手続において出頭した当事者間に和解の合意が成立したものと認め、これを調書に記載せしめたに止まり、宅地の所有者に代つてこれを処分する旨の意思表示をしたものではない(この点裁判所を欺罔して勝訴判決をえ、これに基いて相手方から財物を取得するいわゆる訴訟詐欺とは異なるものと解すべきである)。また、本件宅地の所有権移転登記も、所有者の意思に基かず、内容虚偽の前記和解調書によつて登記官吏を欺いた結果なされたものにすぎず、登記官吏には、不動産を処分する権限も地位もないのであるから、これらの被告人の行為によつて、被告人らが宅地を騙取したものということはできない。」

 

とし、

「そうすると、右宅地に関する詐欺罪の成立を認めた第一審判決は、法令の解釈適用をあやまり、罪とならない事実について、同被告人らを有罪とした違法があり、これを看過した原判決もまた違法といわざるを得ない。しかしながら、右被告人らは、右詐欺とされた行為のほかにも、第一審判決判示のとおり私文書偽造、同行使、公正証書原本不実記載、同行使ならびに株式会社日新からの金員騙取の詐欺(被告人BについてはHからの金員騙取もある)の各犯行を犯しているのであり、処断刑に変更はなく、またその犯行の動機態様等からみて、右被告人らに対する量刑は、右宅地騙取の点を除いても、不当とは認められないから、原判決に前記の違法があつても、いまだこれを破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。」

としました。

 

この内容の事案では、偽造の質権放棄書を用いて質権消滅の登記をした場合にも刑法246条2項の詐欺罪にならないとする大審院時代の古い判例もあり、上記最高裁は、この考えを維持したものいえます。

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