詐欺罪~不法な利益~

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弁護士の佐藤です。

 

 

昨日からなんだかはっきりしない天気ですね。

 

そして、ダイエットをしているつもりなのに、一向に痩せないのはなぜなのでしょうか。

 

髪をばっさりいったので顔がパンパンなのが際立って仕方がありませぬ。

 

で、最近していなかった判例のご紹介を本日はしたいと思うのですが、前回同様、詐欺罪に関する判例のうち、不法な利益を詐取した場合、詐欺罪が成立するのかという問題です。

 

どういうことかと言いますと、被告人は売淫という公序良俗に反する行為をし、さらに、売淫料を欺罔手段により免れたというものなのですが、この売淫料支払の免脱に詐欺罪が成立するのかという問題です。

 

この点、古い判例ですが、名古屋高等裁判所昭和30年12月13日判決は、

 

「原判決は本件公訴事実中被告人が・・・・を欺罔し二回に亘り同人の抱芸妓・・・・と遊興した代金合計二千五百円の支払を免れ財産上不法の利益を得光点に関し被告人が支払を免れた遊興代金は売淫料である旨認定し、売淫契約は公序良俗に反する無効のものであつて財産上不法の利益を得たとはいゝ得ないから詐欺罪を構成しない旨判示し、右詐欺の点を無罪とした。」

 

という原判決に対し、

 

「然しながら原審認定の契約が売淫を含み公序良俗に反し民法第九十条により無効のものであるとしても民事上契約が無効であるか否かということと刑事上の責任の有無とはその本質を異にするものであり何等関係を有するものでなく、詐欺罪の如く他人の財産権の侵害を本質とする犯罪が処罰されるのは単に被害者の財産権の保のみにあるのではなく、欺る違法な手段による行為は社会秩序を乱す危険があるからである。そして社会秩序を乱す点においては売淫契約の際行われた欺罔手段でも通常の取引における場合と何等異るところがない。今本件につき検討するに、原判決は本件公訴事実中被告人が右・・・・方を訪れ同家の抱芸・・・・を相手に二回に亘り無銭遊興をした事実を肯認しながら、右は二回共判示メトロホテルで近子と同衾宿泊した(二回共メトロホテルで同衾した旨の原判決は事実誤認で初めの一回は右・・方である)・・の花代即ち売淫料である旨認定しているけれども、前説明の如く売淫料も刑法第二百四十六条第二項℃詐欺罪の対象となり得るから詐欺罪を構成しない旨判示した。原判決は法律の適用に誤があり、その誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、右無銭遊興が全部売淫料であるか否かを判断する迄もなくこの点において原判決は失当であつて破棄を免れない。」

 

とし、最終的に

「よつて刑事訴訟法第三百九十七条第一項、第三百八十条に則り原判決を破棄し、当裁判所は同法第四百条但書に則り更に次の通り自判する。」

 

として、被告人の詐欺罪の成立を認めました。

 

この論点に関しては、下級審判例の中でも判断が分かれているところでありますが、本件のような事案だけでなく、例えば、白タクという免許のない者がタクシー業務を行ったところ、強盗にあい、タクシー代分を被害にあったという事案で、判例は、強盗罪の成立を認めるなど、不法な利益であっても、民事と刑事を分け、詐欺罪ないし強盗罪の成立を認める方向にあるようです。

 

とはいえ、また例えばですが、覚せい剤の取引行為に詐取があった場合など、違法性といっていいのかわかりませんが、強い場合に詐欺罪ないし強盗罪を認めるかは不明であり、今後の判例の動向がまたれる論点といえます。

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