親子の法律関係の諸問題

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弁護士の佐藤です。

 

あっという間の金曜日でございます。

 

どんよりした天気です。

 

寒いです。

 

 

さて、本日にニュースで、毎日新聞から、

 

「凍結保存していた受精卵を別居中の妻が夫に無断で移植し、出産したとして、奈良県の外国籍の男性(46)が生まれた女児(2)と法的な父子関係がないことの確認を求めた訴訟で、奈良家裁(渡辺雅道裁判長)は15日、訴えを却下し、父子関係を認める判決を言い渡した。」

 

とのこと。

 

これは、

 

「訴訟では生物学的な親子関係に争いはなかったが、男性側は『当時別居し、受精卵を使う同意もしておらず、嫡出推定は適用されない』と主張。一方、女性側は『男性は受精卵の廃棄を依頼しておらず、別居は離婚を前提としたものではない』として親子関係はあると反論していた。」

 

ことに対し、奈良家庭裁判所は、

 

「凍結受精卵の移植について両親の同意が必要としたうえで、2人の当時の交流状況から、同意がなくても、婚姻中に妻が妊娠した子は夫の子と推定する民法の『嫡出推定』の規定が適用され、『嫡出子』として認められると判断した。」

 

というものです。

 

生物学的な実態を重視した結果で、結論はやむを得ないのかとも思いますが、まったく知らないところで、自分の子が生まれているという意味では、男性に気の毒な気がします。

 

 

体外受精が近年増加しているとのことなので、今後は、凍結受精卵の取り扱いについて、各病院に指針が必要になるのではないでしょうか。

 

一方で、実際には親子関係がないにもかかわらず、親子関係不存在請求を不適法として却下した最高裁判例があります。

 

 

平成26年7月17日最高裁は、

 

「民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認するためには、夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし、かつ、同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは、身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる。そして、夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、夫と妻が既に離婚して別居し、子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから、上記の事情が存在するからといって、同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。 このように解すると、法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが、同条及び774条から778条までの規定はこのような不一致が生ずることをも容認しているものと解される。」

 

とし、特に、子の身分関係の法的安定を理由としています。

 

 

奈良家裁も最高裁も、実態を重視するかどうかは判断が分かれていますが、子の安定というものを重視して、上記結論になったのかとも思いますが、父子関係が生物学上認められないことが証明されても、父子関係を否定できないというのは疑問を感じます。

 

争う選択肢が残されていないという意味では、立法の問題も絡んでくるのでしょう。

 

 

 

というわけで、長々と書きましたが、今年もあと半月で終わりです。

 

年末でバタバタしているでしょうが、健康には気を付けて乗り切りましょう。

 

みなさま、よい週末を。

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