行政上の許可のない業務

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弁護士の佐藤です。

 

本日は東京地裁で行政事件がありました。

なかなか担当することのない行政事件ですが、なかなかよい感触でやりがいがあります。

で、本日も刑法に関する判例のうち、業務妨害罪の成否が問題となった判例をご紹介します。

 

本日ご紹介する判例は少々古いのですが、浴場を占有者の承諾を得ないで転借した者が、事実上平穏かつ公然に右浴場を占拠してその湯屋営業を継続している場合に、湯屋営業について当時その者が行政上の許可を持つていなかったら、その業務は、業務妨害罪の業務といえるのかが問題となった事案です。

つまり、行政上の許可を得ない業務というのは、行政法上正当な業務といえません。その場合でも、妨害されたら、保護すべき利益があるのでしょうか。

この点、昭和27年7月3日東京高等裁判所判決は、

「原判示〇〇〇〇及び〇〇〇〇に対する本件浴場の転貸が、所有者たる被告人の承諾なしに行われたこと並びに原判示第二の所為が行われた当時同湯屋営業につき県知事の許可を受けていたものが被告人であって〇〇〇〇でも〇〇〇〇でもないことは、所論のとおりこれを認めるに難くないが、一方記録に徴すると、右〇〇〇〇及び〇〇〇〇は原判示のとおりの事情により、右原判示第二所為が行われた時までに事実上平穏且公然に右浴場を占拠してその湯屋営業を継続して来ていたものであることを肯認するのに十分である。そして刑法業務妨害罪により保護せられる法益は事実上平穏に行われている一定の業務であって、その業務の開始される原因となった契約が民法上有効であることや、その業務に関する行政上の許可が存在することの如きは必ずしもその業務ということの要件ではないと解するのを相当とするから、前記〇〇〇〇及び〇〇〇〇の右湯屋業務も刑法第二百三十三条、第二百三十四条にいわゆる業務というのに該当するものと認むべきである。もとよりかかる場合、右〇〇〇〇及び〇〇〇〇の浴場の賃借権は被告人に対抗することができないから、被告人は右〇〇〇〇及び〇〇〇〇に対し同浴場の明渡請求権を待っていることは論をまたないが、その権利の実現は国家機関の力に依拠して手続を守って行うべきであって、本件の如く個人自ら権利の救済を実力に訴え実現しようとすることは許されないものといわねばならない。即ち被告人に対し業務妨害の事実を認定処断した原審の措置に所論のような違法の点はない。」

とし、業務性を認めました。

 

保護法益を事実上の平穏に行われている業務というのであれば、行政上の同意等は犯罪の成否に関係がないというべきであり、判決の結論は妥当といえるでしょう。

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