相続放棄後の注意義務

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弁護士の佐藤です。

 

私の起きていた時間だけの話ですが、昨日は、ほとんど台風らしい暴雨はなかったような。夕方から、携帯がピーピー警報を告げていたのですが、あれはなんだったのでしょうか。

 

とりあえず、大きな被害がないようでよかったです。

 

 

ところで、先日あった相談で、世間一般の方はあんまり知らないであろう条文のご紹介を簡単に説明したいと思います。

 

例えば、不動産を所有しているものの、莫大な債務を負った人が亡くなった場合、相続人は、不動産の価値が債務より大きいのであれば、売却して、債務を返済し、余ったものを取得すればよいのですが、債務の方が大幅に多いとか、不動産はいらないし、借金を背負いたくないといった相続人は、手続としては簡単で、家庭裁判所に相続放棄の手続をすればよいです。

 

だとすると、残った不動産の管理からは一切身をひくことができるのでしょうか。

 

 

相続放棄をすれば、あらゆる負担から解放されると思いこみがちですが、ところが、ちょっと特殊な条文があって、民法940条に、

 

相続放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

 

と記載されているのです。

 

ここで、自己の財産に対するのと同一の注意とは、自己の財産を管理し、または自己の事務を処理する際にはらう程度の注意をいいます。

民法には、善管注意義務といって、業務を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務というものも規定されているのですが、事故の財産に対するのと同一の注意義務は、善管注意義務に比べて注意義務が軽減されています。

 

とはいえ、不動産の管理に一定の注意義務を負うことになるので、不動産を起因として何か損害が生じた場合、相続放棄をしたのに、相続放棄をした者が損害賠償義務を負う可能性も十分にあることになるのです。

 

これは非常に恐ろしいことです。

 

相続人がいない場合には、相続財産管理人を選任してもらい、引き継いでもらえばよいのですが、相続財産管理人の選任の申し立てに必要な費用は、申し立てをした人が負うことになるので、負担は大きいといわざるを得ません。

 

 

正直、この条文の必要性を疑います。

 

立法での解決が望まれるところといえます。

 

いずれにせよ、相続放棄をした人はくれぐれもご注意を。

 

 

というわけで、台風一過で暑い日が続きそうです。

 

今後も熱中症にはお気をつけください。

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