相続人単独での被相続人の口座履歴開示請求

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弁護士の佐藤です。

 

本日は秋晴れのよい天気です。富士山にも頂上に雪がつもったようで、美しい姿を拝むことができました。

 

この時期は空気が澄んでいて、富士山が綺麗にみられるといまだに嬉しくなります。静岡に何十年も住んでいるので、数え切れないくらい富士山をみているはずなのに、いつみても、富士山は美しいなあと感じてしまいますね。

 

威風堂々としていながら、どこか妖艶で、本当に魅力的な山でございます。

 

いつまでも噴火せずに、美しい姿でいて欲しいものですね。

 

 

ところで、本日は、また判例に関するお話を。

 

最近、お問い合わせがあった相談ですが、相続に関する問題で、相続人は、被相続人の通帳の履歴の開示を、金融機関に単独で請求することができでるかという問題です。

 

例えば、相続人の一人が相続人のとある通帳の存在を認識していながら隠していて、他の相続人が、独自で金融機関に口座の有無を調べたいといったときに問題となります。

 

この点、以前は、相続人全員の同意がないと応じないという金融機関があったため、実際訴訟になり、最高裁までいきました。

 

そしてこの問題に決着をつけたのが、平成21年1月22日最高裁判決です。

 

上記最高裁は、まず、預金者と金融機関の法律関係について、

 

「預金契約は、預金者が金融機関に金銭の保管を委託し、金融機関は預金者に同種、同額の金銭を返還する義務を負うことを内容とするものであるから、消費寄託の性質を有するものである。しかし、預金契約に基づいて金融機関の処理すべき事務には、預金の返還だけでなく、振込入金の受入れ、各種料金の自動支払、利息の入金、定期預金の自動継続処理等、委任事務ないし準委任事務(以下「委任事務等」という。)の性質を有するものも多く含まれている。委任契約や準委任契約においては、任者は委任者の求めに応じて委任事務等の処理の状況を報告すべき義務を負うが(民法645条,656条)、これは、委任者にとって、委任事務等の処理状況を正確に把握するとともに、受任者の事務処理の適切さについて判断するためには、受任者から適宜上記報告を受けることが必要不可欠であるためと解される。このことは預金契約において金融機関が処理すべき事務についても同様であり、預金口座の取引経過は、預金契約に基づく金融機関の事務処理を反映したものであるから、預金者にとって、その開示を受けることが、預金の増減とその原因等について正確に把握するとともに、金融機関の事務処理の適切さについて判断するために必要不可欠であるということができる。」

 

として、

 

「金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うと解するのが相当である。」

 

とした上で、結論として、

「預金者が死亡した場合、その共同相続人の一人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(同法264条,252条ただし書)というべきであり、他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。」

 

として、相続人単独での開示請求を肯定しました。

 

現在は、この最高裁判例の判断が浸透しているようで、ほとんどの金融機関は、請求に応じるようですが、たまに、応じない金融機関もあると聞きます。

 

 

そのような場合には、上記判例を示すなり、専門家に相談するなりして、請求することをおすすめします。

 

 

 

というわけで、今週もあと2日。

 

 

体調には気を付けて、なんとかのりきりましょう。

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