相続における紛争について4~公正証書遺言について~

弁護士の佐藤です。

本日も前回に続き、遺言についてです。本日は公正証書遺言についてご説明いたします。

公正証書遺言とは、公証役場で公証人(主に元裁判官などがやられている)に作成してもらう遺言のことです。この遺言方法は、最も確実であるといえます。
まず、遺言者が本人であることを証明するため、実印や印鑑証明書などを揃えます。次に、2人以上の証人と一緒に公証役場へ行って、遺言者が遺言の内容を口頭で述べます。なお、遺言者が遺言をする際には、どんな内容の遺言にしようかと悩む場合もあるでしょう。そのような場合でも、公証人は、適切なアドバイスをするなどして、遺言者にとって最善と思われる遺言書作成の手助けをしてくれます。もちろん、事前に弁護士に相談すれば、弁護士が案を作成し、公証人と話しをするため、公証役場に行く際には、内容の確認だけで済むことになります。また、体力が弱ってしまったり、病気等なんらかの事情で遺言者が公証人役場まで行けないときは、遺言者の自宅又は病院等へ公証人に出張してもらうことも可能です。

公正証書遺言では、遺言者の真意を確保するため、前述のとおり、2人以上の証人に立ち会ってもらいます。

次に遺言者が述べた遺言の内容は、公証人によって筆記されます。そして、公証人が筆記したものを遺言者と証人に読み上げたり、閲覧させます。そして遺言者本人と証人が、筆記したものを確認した後、署名押印をします。最後に、公証人が手続きに従って作成した旨を付記して、署名、押印します。

作成された公正証書遺言の原本は、公証人によって保管されますので、紛失や偽造される心配はありません。そして、遺言者には原本と同一の効力を有する正本が渡されます。また、万一、正本を紛失しても再交付を受けることができます。

なお、公正証書遺言を作ってもらうためには、公証人の手数料がかかります。手数料は相続財産の額によって変わりますが、財産が多くなるほど高くなります。

なお、遺言書について家庭裁判所の検認手続きは必要ありません。また、その内容が、有効か無効かが後に争われることもほとんどありません。そのため、遺言の執行が迅速にできます。以上のことにより、自筆証書遺言に比べると確実性がある遺言なのでお薦めです。

一応のデメリットして、証人を2人つれていかなければいけないため、遺言の内容を完全に秘密にできないということが上げられます。証人は、相続人がなることはできませんが、証人から親しい相続人にその内容をばらされてしまうという危険があります。なので、例えば、弁護士に遺言の作成を頼んで、弁護士や弁護士の事務員等に証人になってもらったりすることも多々あります。

なお、手話などによる通訳(手話通訳方式)や筆談(筆談方式)によっても手続きができますので、聴覚・言語機能に障害のある人も公正証書遺言を利用できます。手話通訳方式とは、手話通訳士等の通訳人と証人2人以上の立会いのもとで、遺言者が手話通訳を通じて遺言の内容を公証人に伝えることにより、公証人が公正証書を作成する方式です。
また、筆談方式とは証人2人以上の立会いのもとで公証人と筆談する方式です。

公正証書遺言は、証人が必要であったり、手数料がかかるという意味では、負担もありますが、大切な財産を確実に相続人に相続させることができるという点が最大のメリットであり、遺言作成の相談を受けた際には、私は公正証書遺言をお薦めしております。遺言が、後に紛争を遺さないためのものであるとするなら、やはり確実性を一番重要視すべきだからです。

なお、余談ですが、前回述べた自筆証書遺言であろうと、公正証書遺言であろうと、遺言を作成する上で、遺言執行者を遺言の中で指定しておくことも重要と言えます。

遺言執行者とは、遺言書の内容を具体的に実現する人をいいます。遺言書に書かれている内容・趣旨にそって、相続人の代理人として相続財産を管理し名義変更などの各種の手続を行います。

 遺言執行者は、相続人、実際に相続をうける人でもなれます。

ただ、やはり、手続きは煩雑なものもありますので、弁護士など、専門知識のある人を指定しておくと、手続がスムーズにいくため、そういった専門職の方を指定しておくといいと思います。

以上が、相続における紛争を避けるための手段ですが、次回は、生前贈与または遺言の作成する上での注意点についてお話したいと思います。

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