相続における紛争について1~はじめに~

弁護士の佐藤です。本日からしばらく、相続関係について書きたいと思います。

生まれてきた以上、相続というものは誰でも経験しなければいけないことですが、その対策ができていないために、後々紛争になることがとても多く、法律相談の中でも相続に関する件数が非常に多いです。

それはなぜかというと、死というものを考えたくないということが一つ理由にあるかもしれません。しかし、対策をとらないがために、残された家族がバラバラになったり、会社を経営されている方でしたら、会社そのものがバラバラになるというケースも少なくありません。そこで、今一度、相続における対策というものを考えていただきと思います。

そこで、その対策を考える前に、本日は、対策ができていなかった場合の流れについて簡単にお話したいと思います。

今後詳しくお話しますが、遺言書がない場合、相続つまり、人が亡くなると、誰がどれだけ相続を受けることができるかというのは、民法で決まっております。例えば、被相続人(亡くなられた方)に、配偶者(夫や妻)と子供が3人いた場合、相続人は、配偶者と子3人で、相続分は、配偶者が配偶者1/2、子供は 子一人当たり1/6となります。次に、被相続人に配偶者がおらず、子供が3人の場合は、子供3人が相続人となり、相続分は、子一人当たり1/3となります。さらに、被相続人に配偶者がいるが、子供はおらず、被相続人に両親がいた場合、相続人は、配偶者と両親で、相続分は、配偶者2/3、両親は、親一人当たり1/6となります。最後に、被相続人に配偶者がいるが、子供も両親もおらず、被相続人に兄弟姉妹が2人いる場合、相続人は配偶者と、被相続人の兄弟姉妹2人となり、相続分は、配偶者が3/4、 兄弟姉妹二人は、兄弟姉妹一人当たり1/8となります。

そこで、遺言書がない場合、被相続人の財産が現金だけでしたら、先ほど述べた割合で単純に割って分配すればいいだけの話ですが、実際は、預貯金だけと言う人は少ないです。例えば、不動産、住んでいる土地や建物があったり、会社の社長さんだったら、株式を持っていたり、車などもあると思います。その場合、不動産や車、株式をどうするかというのは、当然一筋縄ではいきません。仲の良い家族であれば、お互い譲り合って、決めればいいのですが、そうでない場合、例えば、配偶者と子供一人が昔からものすごく確執があって、どうしても、土地と建物だけは、私がほしいといいだしたり、兄弟間の仲が悪く、弟よりも兄の方が、沢山のお金が欲しいといいだしたりするのです。

そこで、遺産分割協議というものをまずはします。相続人間の仲がよくて、みんなが譲り合って、財産の分配がうまくまとまれば、全員が実印と印鑑証明をもって、遺産分割協議書を作成し、それに基づいて分配をすればいいですが、そうでない場合、相続人間でどうしても感情的になって話しがまとまらない場合は、どうするかといいますと、裁判所をつかわなければいけなくなります。

裁判所をつかうというのは、遺産分割の調停を申し立てるということです。これは、もちろん弁護士とたててやることも多いですが、当事者本人で申立てることももちろん可能です。

その後の調停の進行はどうなるかといいますと、調停といっても、結局は調停員を交えた話合いの場なのですが、ポイントは、対立している相続人同士が顔を合わせることはないということです。控え室も別になっていますし、調停員との話も、交互に呼ばれるので、顔を会わせず、また、公平な第三者の調停員がいますから、感情的にならずに話ができますし、必要におうじて、調停員がアドバイスをしてくれるので、話がまとまることもあります。さらに、弁護士をたててやられると、調停室でも、法律的な考えで、調停員ないし、相手方の人と話ができたり、一人で裁判所にいくのは不安でしょうから、精神的な負担というもの軽減されます。

それで、何とか話がまとまれば、調停成立ということで、遺産分割協議書のように、調停条項に定められたとおりに、あとは手続をすすめればいいのですが、調停をもってしても、話がまとまらなかった場合、その場合は、調停は不成立ということで、次は審判というものに移行します。

審判というのは、裁判と同じようなもので、これまでのそれぞれの当事者の言い分を裁判官が聞いた上で、強制的に、財産を分配してしまうというものです。それに不服があれば、さらに即時抗告といいまして、別の裁判官にみてもらって、審判内容が正しいか間違っているかをきめてもらうことになり、いずれにしても、最終的に、裁判官の判断で紛争を解決するということなります。

以上が、相続の対策をしていない場合の一般的な流れになりますが、こうなると、費用も時間(ケースによっては、2,3年)もものすごくかかりますし、残るのは結局相続人間の遺恨だけということにもなりかねません。

そこで、次回は、相続における紛争の解決方法についてお話したいと思います。

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