盗品の喝取

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弁護士の佐藤です。

 

今週もいつのまにかはじまっておりました。

 

今週は木、金と出張で、なおかつ金曜は久しぶりの尋問で、何かとバタバタしております。

 

で、本日も刑法に関する判例をみていきますが、本日は恐喝罪についてです。

 

前提として、刑法249条は

  1. 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
  2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

と規定しています。

 

そして、本日ご紹介する判例で問題となったものが、①盗品、つまり盗んだ物を運搬中の者に対し「警察の者だが取調の必要があるから差し出せ」等と虚偽の事実を申し向け、盗品を交付させた場合、詐欺行為というのか、恐喝行為というのか、次に、②本件は、盗品であるため、その物を所持する者に正当な権利がない場合でも恐喝罪が成立するのかというものが争点でした。

 

この点に判断を示したのが、古い判例dえすが、昭和24年2月8日最高裁判所判決です。

 

上記判決は、まず、①の争点に対し、

「原判決の確定した事実は、被告人は第一審相被告人Aと共謀の上、原審相被告人Bに対し同人が窃取した綿糸の買入を世話すると称し同人が綿糸を運搬して来るところを、被告人が刑事だと脅かしてそれを取上げることに手筈をきめ、昭和二十一年九月一日右Bが綿糸二十梱を家人に運搬させて来るや、被告人は警察官を装うてBに対し『警察の者だがこの綿糸は何処から持つてきたか』と尋ね同人が『火薬廠から持出した』と答えると、その氏名年令職業等を問ひ之を紙に書留める風をした上『取調べの必要があるから差出せ』と言ひ、若しこれに応しなければ直ちに警察署へ連行するかも知れないような態度を示して同人を畏怖させ、因つて同人をして即時その場で右綿糸二十梱を交付させたと云うのであつて、右の如く被告人がBに対しその申入れに応しなければ直ちに警察署え連行するかも知れないような態度を示し、Bがこれにより畏怖の念を生じ、為めに綿糸を交付するに至つたものである以上、恐喝罪をもつて問擬すべきである。被告人の施用した手段の中に虚偽の部分即ち警察官と称した部分があつても、その部分も相手方に畏怖の念を生ぜしめる一材料となり、その畏怖の結果として相手方が財物を交付するに至つた場合は詐欺罪ではなく恐喝罪となるのである。」

 

とし、詐欺罪ではなく、恐喝罪の瀬尾率を認めました。

 

そして、次に、②の争点については、

「本件において被害者Bの持つていた綿糸は盗品であるから、Bがそれについて正当な権利を有しないことは明かである。しかし正当の権利を有しない者の所持であつても、その所持は所持として法律上の保護を受けるのであつて、例へば窃取した物だからそれを強取しても処罰に値しないとはいえないのである。恐喝罪についても同様であつて、贓物を所持する者に対し恐喝の手段を用いてその贓物を交付させた場合には矢張り恐喝罪となるのである。従つて原判決が本件を恐喝罪として問擬したのは正当であつて、論旨は理由がない。」

 

とし、盗品であっても、恐喝罪の成立を認めております。

 

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