漁船に閉じ込めた場合の監禁罪の成否

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弁護士の佐藤です。

 

さて、本日も刑法に関する判例のうち、前回同様、逮捕監禁罪に関する判例をご紹介します。

前回までは、現実的可能説、可能的自由説等の学説をあげ、監禁されているものの認識をもとに、監禁罪の成否を検討しましたが、本日からは、その方法が監禁罪といえるのかが争われた判例をご紹介します。

本日ご紹介する判例で争われた方法は、沖合に停泊中に漁船に閉じ込めた場合に監禁罪が成立するかという問題です。

どういうことかといいますと、被告人は、漁船に被害者を閉じ込めたのですが、その当時被告人は船中に寝ており、被害者は海中に飛込み泳いで岸に着き帰ろうと思えば帰れたのに、被害者はそれを思止まり敢て船中にいたということでした。

 

この点、最高裁判所昭和24年12月20日判決は、

 

「被告人は海上沖会に碇泊中の漁船内に同女を閉込めたのであるから陸上の一区画に閉込めた場合と異り上陸しようとすれば岸まで泳ぐより外に方法はないのみならず時刻は深夜の事でもあり、しかも当時強姦による恐怖の念が尚継続していたものと認められないことはない本件の場合において同女が該漁船から脱出することは著しく困難なことであるといわなければならない。しかしてかかる場合は猶刑法にいわゆる『不法に人を監禁した』ものと解するのが相当である。從つて原判決が被告人の判示所爲を不法監禁罪として処断したのは相当であつて、原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。」

とし、監禁罪の成立をみとめた原審の判断を支持しています。

 

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