消費者問題8~大学の入学金等の返還について~

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弁護士の佐藤です。

本日も消費者問題についてお話したいと思いますが、本日は、以前私が相談を受けた事案を題材にしてお話したいと思います。

それは、大学試験に合格し、入学金等を支払ったが、別の大学にも受かり、その大学に行くことを決めた場合、すでに納めた入学金や授業料は返還してもらうことはできるのか、という問題です。

大学入試には、一定期間をすぎると、すでに納めた入学金や授業料の返還に応じない不返還特約というものがあります。この条項が法律に違反していないかどうかということが問題になるのです。

この点に関しては最高裁判例もあり、結論としては固まっているといってもいいのではないでしょうか。

まず、入学金ですが、判例は、入学金は、当該大学に入学し得る地位を取得することへの対価としての性格を有しており、これに加えて大学は、学生が入学金を納付して在学契約を締結した以上、その学生が現実に入学するか否かにかかわらず、直ちに教育を実施するために必要な人的、物的設備を準備する義務を負っていることなどに照らせば、入学金の一部は、全体としての教育役務等の提供のうち、入学段階における人的物的設備の準備、事務手続き費用等、大学が学生を受け入れるために必要な準備行為の対価としての性質をも併せ有しているとしています。そして、在学契約が成立したことにより、大学から、当該大学へ入学し得る地位の付与を受けているのであり、また、本件在学契約が解除された時点までに、大学はすでに合格者らを受け入れるための具体的諸準備を行っていたと考えられるとして、入学金納付者らは大学から入学金に対応する反対給付の履行をすでに受けているということができるから、入学金納付者らが在学契約を解除したからといって、大学に対し、入学金の返還を請求することはできない旨判示しています。

他方、授業料については、判例は、「学生が在学契約を解除した場合には、授業料を納付していれば、教育役務等反対債務の履行を受けていない部分があればその返還を受けられる。大学の授業料不返還特約はこの本来返還すべき義務を免れしめるものであり、消費者契約法9条1号に該当する。在学契約はその性質上、学生の解除により大学が他の者から収入を得る機会を失うことがあり得ることも当然に予定しているものというべきであって、大学は合格者の入学辞退により他の者から収入を得る機会を失ったとしても、それを大学の被る損害として観念することはできない。また、大学は、入学辞退により定員割れが生じ得ることを踏まえたうえであらかじめ合格者の調整を図るべきであり、定員割れのリスクは大学において甘受すべきであるから、その予測が外れ、定員割れの事態が生じたとしても、それを学生の入学辞退による平均的な損害の内容になるということも認められない。したがって、本件不返還特約は消費者契約法9条1号により無効である。」旨判示しています。

すなわち、入学金に関しては、返還義務はないが、授業料の不変換特約は、消費者契約法9条1号に違反し、無効であるから、大学側は授業料の返還に応じなければいけないということです。

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