消費者問題5~発信者情報開示請求について~

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弁護士の佐藤です。

本日も消費者問題ですが、前回インターネットに関する問題を取り上げたので、今回もインターネットに関するお話を。

今回は、発信者情報開示請求に関するお話です。

発信者情報開示請求とはあまり聞きなれない言葉だと思います。

インターネットを通じた情報流通の拡大により、その負の側面として、他人の権利利益を侵害するような情報の流通が問題となっています。もとより、ある情報の流通によって他人の権利利益が侵害されるということ自体は、インターネット等の媒体を利用する場合であっても問題とされていたことで、この分野に限って問題となるわけではありません。しかしながら、インターネット等による情報発信は、社会的・財政的に制約が少ないために、誰しもが反復継続して情報の発信を行うことが可能であり、また、不特定の者に対して情報発信が行われ、しかも高度の伝播性、つまり情報がひろがりやすいという点で、他の情報流通手段と比較すると、他人の権利利益を侵害する情報の発信が容易であり、一旦被害が生じた場合には、被害が際限なく拡大していくという特質を有しています。

インターネット等においては、匿名あるいは仮名による情報発信が可能であり、他人の権利利益を侵害するような情報発信が匿名あるいは仮名で行われた場合には、加害者を特定して責任追及をすることができないことから、先に述べた被害の拡大性に加えて、被害の回復が極めて困難ということになります。

さらに、インターネット上において匿名で加害行為が行われた場合には、対象の絞り込みが極めて困難な場合が通常であるし、さらに、インターネット等においては、加害者と被害者の間に立って情報等の媒介を行っているプロバイダ業者が存在しており、このプロバイダ業者等が発信者の特定に資する情報を保有している可能性が高いといえます。

つまり、インターネット等を用いて行われた加害者不明の不法行為の場合には、加害者に関する情報を類型的に保有している者を通じれば、加害者に関する情報を取得できる場合がある反面、この者から情報を取得できなければ、加害者の絞り込みすらできないということになります。

このような状況においては、被害者がプロバイダ事業者等から発信者情報の開示を受けることの必要性は高いと考えられる。

他方、発信者情報は、発信者のプライバシー及び匿名表現の自由、場合によっては通信の秘密として保護されるべき情報であるから、正当な理由もないのに発信者の意に反して情報の開示がなされることがあってはならないことば当然といえます。

そこで、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」という法律ができ、同法4条において、一定の要件のもと、発信者情報開示請求が認められることになりました。

私も、この事件を以前、担当したことがありますが発信者情報開示請求は、時間との勝負です。発信者情報をプロバイダ事業者等が保有している期間は、事業者にもよりますが、半年くらいと考えられています。したがって、放置しておくと、永久に加害行為を行った人の情報が分からなくなる可能性があります。

また、仲介しているプロバイダ事業者が1社ともかぎらないため、次々に発信者情報開示の手続きをしていかなければいけないケースがむしろ多いため、労力も使います。

しかし、先ほども述べたとおり、インターネットにおける名誉毀損行為等の損害はこれまでの名誉毀損行為等とは比べられないくらい深く重いものになる可能性がり、到底許されるものではありません。

インターネット等により名誉毀損等の被害を受けたかたは、是非一人で悩ます、早期に弁護士等の専門家のご相談ください。

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