消費者問題4~インターネットオークション問題について~

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弁護士の佐藤です。

本日も消費者問題についてですが、本日は、インターネットオークションに関する問題です。

インターネットオークションでよくある相談は、インターネットオークションで商品を落札し、代金を支払ったが、商品が送られてこないという、いわゆるオークション詐欺が多いです。

その場合、もちろん詐欺をした人を訴えればいいのですが、インターネットオークションの場合では、匿名性が高いため、そもそも詐欺をした人の名前や住所がわからないということがほとんどです。

では、その場合、インターネットオークションを運営する事業者を訴えることができないかが次の問題となります。

インターネットオークションは、売買の当事者ではなく、あくまでも仲介業者であり、責任を負わないように思えますし、通常は利用規約などでもその旨の規定があるでしょう。

この点に関して、名古屋地裁平成20年3月28日判決は、

「前提事実のとおり,被告は,本件サービスの利用に際して,出品者から本件利用料を徴収している。

そして,本件利用料のうち,出品システム利用料及び出品取消システム利用料については,出品に伴うデータ領域の確保などが,落札システム利用料については,電子メールによる落札通知自動の送付などが,具体的な対価関係にあるものと捉えることが相当であるから,本件利用料は本件サービスのシステム利用の対価に過ぎないと認められる。

自動入札機能も,他の利用者による入札に対抗するにはオークションを常時確認する必要があるところ,それは事実上困難なことであるから,確実に落札したい利用者(入札者)のニーズに応えた機能にとどまる。

そのほか,被告が利用者間の取引に積極的に介入してその取引成立に尽力するとまで認めるに足りる証拠はなく,本件利用契約が仲立ちとしての性質を有するとはいえない。

また,本件利用契約は,上記認定によっても,事実行為を委任したり,目的物の完成を請け負わせたりするものとか,あるいはこれに類似するものともいえない。

他方,本件利用契約の内容となっている本件ガイドラインにおいては,被告は利用者間の取引のきっかけを提供するに過ぎない旨が定められており,被告は,これを指摘して,被告には利用者間の取引について一切責任を負わない旨主張する。

しかし,本件利用契約は本件サービスのシステム利用を当然の前提としていることから,本件利用契約における信義則上,被告は原告らを含む利用者に対して,欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務を負っているというべきである。

本件ガイドラインには被告の免責についても定められているが,同免責条項の適用の有無については,被告の義務違反が認められた後に検討されるべきであり,被告の上記主張が,免責条項以前に被告には全く義務が生じないというものであれば,そのような主張は採用することができない。」とし、さらに、「被告が負う欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務の具体的内容は,そのサービス提供当時におけるインターネットオークションを巡る社会情勢,関連法規,システムの技術水準,システムの構築及び維持管理に要する費用,システム導入による効果,システム利用者の利便性等を総合考慮して判断されるべきである。」としました。

そして、具体的な義務としては、「被告には,上記認定のとおり,本件サービスを用いた詐欺等犯罪的行為が発生していた状況の下では,利用者が詐欺等の被害に遭わないように,犯罪的行為の内容・手口や件数等を踏まえ,利用者に対して,時宜に即して,相応の注意喚起の措置をとるべき義務があったというべきである。」として、注意喚起の措置をとるべき義務を課しています。

他方、上記地裁判例は、

「上記認定のとおり,現在まで日本にオークション利用者の信頼性を評価する第三者機関は存在していないのであるから,原告らの主張するような第三者機関による信頼性評価システムの導入は被告にとって相当な困難を強いることとなる・」とし、さらに、「本件サービスを利用して詐欺を行おうとする者は,被告との本件利用契約においても,虚偽の情報を申告したりするなどして,当初から追及されにくいように行動するものと考えられるのであって,出品者情報を開示したからといって,その一般予防的効果を期待することはできない。」などとして、信頼評価システムを導入する義務や、出品者の情報を落札者に対して開示する義務までは事業者に課すことはしていません。

従って、現時点では、事業者の義務としては、顧客に注意喚起の措置をとるという義務までを認めることになりますが、先ほどの判例が示すように、インターネットを巡る社会情勢等の変化によっては、今後さらに重い義務を課すこともありうるといえるでしょう。

 

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