消費者問題3~クレジット契約の取消について~

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弁護士の佐藤です。

前回はクレジットカードの不正使用についてお話しましたので、本日もクレジットカードに関する消費者問題についてお話しようと思います。

これは以前私が担当した事件だったのです。クレジットカード取引については前回お話しましたが、ある販売店で、クレジットカードを使用して物品を購入したが、購入の際、店員から虚偽の事実を説明されたため、物品の購入自体を取り消した場合、クレジット契約も取り消すことができるかという問題です。

この点、消費者契約法4条は次のように規定しています。

  1. 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

  一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

  二  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において 当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

  1. 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
  2. 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

  一  当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

  二  当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

  1. 第1項第一号及び第2項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。

  一  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容

  二  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件

  1. 第1項から第3項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

そして、消費者契約法5条は、次のように規定しています。

1.前条の規定は、事業者が第三者に対し、当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし、当該委託を受けた第三者(その第三者から委託を受けた者(2以上の段階にわたる委託を受けた者を含む。)を含む。次項において「受託者等」という。)が消費者に対して同条第1項から第3項までに規定する行為をした場合について準用する。 この場合において、同条第2項ただし書中「当該事業者」とあるのは、「当該事業者又は次条第1項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。

2.消費者契約の締結に係る消費者の代理人、事業者の代理人及び受託者等の代理人は、前条第1項から第3項まで(前項において準用する場合を含む。次条及び第七条において同じ。)の規定の適用については、それぞれ消費者、事業者及び受託者等とみなす。

上記法令を、先ほどの事案にあてはめて考えると、販売業者が、クレジット契約締結を「倍加することの委託」(消費者契約法5条)を受けた者にあたるかどうか、そして、販売業者の行った行為が、クレジット契約自体についての重要事項(消費者契約法4条)に関するものかどうかという問題になるわけです。

したがって、販売店の店員がクレジット契約を前提として、お客さんに販売勧誘を行い、クレジット契約締結の段取りも行った等の事情があれば、クレジット契約を媒介したとい認められることに傾くといえまし、虚偽事実の内容が売買契約の重要事項のみならず、クレジット契約自体の重要事項にもあたると認められる場合には、クレジット契約が取り消されることになります。

なお、本件と話がちょっとずれますが、訪問販売、電話勧誘販売、特定連鎖販売個人契約、特定継続的役務提供、業務提携勧誘販売個人契約の取引類型については、平成20年度割賦販売法の改正により、一定の手立てがなされました。

これは、法改正により、個別クレジット契約を利用した上記取引類型に関し、販売業者等が行った売買契約等又は個別クレジット契約に関する不実の告知又は不告知により購入者等が誤認して契約を締結した場合には、売買契約等とともに個別クレジット契約を取り消すことができました。

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