消費者問題10~投資信託等の勧誘行為について~

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弁護士の佐藤です。

本日も消費者問題についてですが、本日は、銀行員等による勧誘行為の違法性についてお話したいと思います。

例えば、銀行員などが、高齢者などの、投資信託をすすめたが、その結果、損害が発生したという場合、銀行員や銀行に対して、損害賠償請求をすることはできるのでしょうか?

この点、銀行員などは、商品を進めただけで、また、投資信託などはリスクがつきもので、それを知って投資信託をしている以上、自己責任であり、銀行に対して、当然には損害賠償請求をすることはできないといえるでしょう。

しかし、ここで、適合性の原則という言葉があります。これは、購入者が本件商品を購入するか否か、購入額をいくらにするか、途中解約をするか否かなどの投資判断を的確に行うためには、購入者は本件商品の特性を認識および理解できるだけの能力、日経平均株価の推移や動向をある程度把握・理解できる能力が必要といえるというものです。

そして、判例は、「投資商品を販売する金融機関の担当者が、顧客の意向と実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、適合性の原則から著しく逸脱した取引の勧誘をしてこれを行わせたときは、当該行為は不法行為法上の違法となると解するのが相当である。そして、上記のような顧客の適合性を判断するに当たっては、取引の対象となった商品等の特性を踏まえて、これとの相関関係において、顧客の投資経験、投資取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮すべきである(最高裁平成17年7月14日第一小法廷判決)」としました。

そして、具体的な事案では、高齢者に投資信託の商品を販売した銀行の従業員の勧誘に、適合性原則違反および説明義務違反があったとして、銀行に対し、使用者責任に基づく損害賠償を請求した事案において、「原告の投資経験、投資取引の知識及び能力についてみると、原告は、・・・本件取引当時77歳の高齢の1人暮らしの女性であり、第二次世界大戦の戦時下に国民学校高等科を卒業し、学校卒業後は、宿泊施設の仲居、専業主婦、工場労働者として働くという、株式等の金融商品の知識を得る機会の少ない学歴、職歴、経歴しか有せず、亡夫とともに世帯の収入及び資産は預貯金で運用し、株式等の有価証券取引の経験がなかった。このことからすれば、原告は、本件取引当時、株式、投資信託等の元本割れのリスクを伴う金融商品の取引に関する知識や日経平均株価に関する知識を十分に身につけてはおらず、本件商品の特性を本件パンフレット及び目論見書を読んだだけで理解できる能力は備えていなかったと推認できる。」などとして、適合性原則違反を認定しました(大阪地裁平成25年2月20日判決)。さらに、上記大阪地裁判決は、銀行の説明義務について、「投資商品を販売する金融機関の担当者は、顧客に対して取引を勧誘するに当たっては、顧客の自己責任による取引を可能とするため、取引の内容や顧客の投資取引に関する知識、経験、資力等に応じて、顧客において当該取引に伴う危険性を具体的に理解できるように必要な情報を提供して説明する信義則上の義務を負うというべきである。そして、その担当者が上記のような義務に違反して顧客に対する勧誘行為を行った場合には、当該行為は不法行為法上の違法となると解すべきである。」とし、同様に説明義務違反を認めました。

このように、判例は、購入者の能力等を総合的に判断し、また、銀行側に、説明義務を課すことによって、消費者の保護を図ったといえます。

 

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