泉佐野市市民会館事件

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弁護士の佐藤です。

 

さて、本日も憲法に関する判例ですが、本日は憲法21条のうち、集会・結社の自由に関するものです。

 

事案は、地方自治法244条にいう公の施設である市民会館の使用許可の申請を市民会館条例の規定に基づき不許可処分にした事件で、泉佐野市市民会館事件とよばれている事件です。

 

最高裁判所平成7年3月7日判決は、まず、不許可自由である、「公の秩序をみだすおそれがある場合」の解釈について、

 

「本件条例七条一号は、『公の秩序をみだすおそれがある場合』を本件会館の使用を許可してはならない事由として規定しているが、同号は、広義の表現を採っているとはいえ、右のような趣旨からして、本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、本件会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、前記各大法廷判決の趣旨によれば、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である(最高裁昭和二六年(あ)第三一八八号同二九年一一月二四日大法廷判決・刑集八巻一一号一八六六頁参照)。そう解する限り、このような規制は、他の基本的人権に対する侵害を回避し、防止するために必要かつ合理的なものとして、憲法二一条に違反するものではなく、また、地方自治法二四四条に違反するものでもないというべきである。」

 

として、合憲限定解釈をし、

 

「本件不許可処分は、本件集会の目的やその実質上の主催者と目される中核派という団体の性格そのものを理由とするものではなく、また、被上告人の主観的な判断による蓋然的な危険発生のおそれを理由とするものでもなく、中核派が、本件不許可処分のあった当時、関西新空港の建設に反対して違法な実力行使を繰り返し、対立する他のグループと暴力による抗争を続けてきたという客観的事実からみて、本件集会が本件会館で開かれたならば、本件会館内又はその付近の路上等においてグループ間で暴力の行使を伴う衝突が起こるなどの事態が生じ、その結果、グループの構成員だけでなく、本件会館の職員、通行人、付近住民等の生命、身体又は財産が侵害されるという事態を生ずることが、具体的に明らかに予見されることを理由とするものと認められる。」

 

として、結論として、憲法21条に反しないとしました。

 

上記最高裁判例は、いわゆる比較衡量論をもちいて、集会の自由の重要性と人的被害の蓋然性を比較し、結論を導いたものですが、上記にあげていませんが、事実認定をもとにすれば、結論としては、妥当といえるところではないでしょうか。

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