民法9~民法145条(時効の援用)~

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弁護士の佐藤です。

昨日に引き続き、静岡は、本日も暖かく過ごしやすいですね。

前回までは代理行為に関するお話を条ごとにしてきましたが、本日から時効に関するお話です。昨今騒がれている民法の大改正では、この時効に関する条文が大幅に変わる予定です。ですので、どのように変わるかは、改めて、後日お話致します。

それで、時効というのは、取得時効と消滅時効の二つに分かれます。取得時効というのは、例えば、自分のものではないにもかかわらず、一定期間、不動産を占有していたり、動産を所持してた場合、一定期間経過したら、その事実を尊重して、その不動産や動産を取得させるというものです。他方、消滅時効というのは、一定期間、債権を有しながら請求しなかった場合、その債権が消滅してしまうというものです。

時効を定める根拠は、法的安定性等の尊重、取引秩序の維持や、権利の上に眠る者を保護しない、時間とともに困難になる証拠保全の救済等があげられます。

そして、本日は、民法145条です。

民法145条は、

時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

と規定されています。

これは、永続した事実状態を尊重しつつも、他方で時効の利益の享受を潔しとしない当事者の意思を顧慮し、その援用をまって時効の効果が生じるとしたものです。つまり、一定期間の時間の経過だけでは、時効は完成せず、利益を受ける者の援用の意思表示が必要だということです。

ここで、援用できる当事者とは、債務者や保証人、物上保証人、抵当不動産の第三取得者など、時効によって直接に利益を受ける者をいいます。

なお、判例は、売買予約に基づく所有権移転請求権保全仮登記がなされた不動産に抵当権の設定を受けた抵当権者は、予約完結権の消滅によって直接利益を受ける者にあたり、その消滅時効を援用できるとされています(最高裁平成2年6月5日判決参照)。

因みに、判例では、借地上の建物の賃借人は、賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用できないとされています(最高裁昭和44年7月15日判決参照)。

なお、時効完成後に、債務の承認または期限の猶予の請求をしたような場合には、その人が時効の完成を知らなかったとしても、その後、時効の援用をすることは、信義則上許されません(最高裁昭和41年4月20日判決参照)。

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