民法4~民法第93条(心裡留保)~

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弁護士の佐藤です。

本日も民法ですが、前回からいきなり飛んで、今回は、民法93条についてです。

民法93条は、「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。」と規定されています。いわゆる心裡留保と呼ばれている規定です。

前提として、意思表示は、内心と表示が合致していなくてはいけません。

しかし、取引などで、意思表示をする者が、意思表示の表示と内心の意思が違うことを知りながら、意思表示をした場合、当然と言えば当然ですが、取引安全のために、表示通りの効果が生ずるというものです。しかし、意思表示の相手方が、その不一致をしている等の場合にまで、その相手方を保護する必要がないため、そのような場合には、その意思表示を無効とした規定です。

この規定は、類推適用といって、ある事柄に関する規定の背後にある趣旨を別の事柄についても及ばせて新たな規範を発見ないし創造しそれを適用するための技術に使われたりします。

例えば、Aさんが、Bさんに、とある取引の代理権を与えて、BさんがCさんと取引行為をしたとします。本来、BさんはAさんの代理人であるから、Aさんの利益のために動かなければいけません。しかし、BさんがAさんを裏切って、自分のため、または第三者の利益を計る目的で代理行為を行った場合、本来、代理行為を有効なのですが、Cさんが、代理人のその意図を知り、または、知りうべかりし場合にまで、Cさんを保護する必要がありません。

そこで、判例は、このような場合には、この民法93条但書を類推適用して、代理行為を無効としました(最高裁昭和42年4月20日判決参照)。

この判例は民法を勉強するとすぐに学ぶ判例で、当時はあまり考えずに勉強しておりましたが、あらためて、当時の判例や法律の解釈の仕方というのは、今勉強になりますね。

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