民法48~民法415条(債務不履行に基づく損害賠償請求)④~

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弁護士の佐藤です。

 

本日は、民法415条の最終回です。不完全履行についてのお話です。

 

不完全履行とは、債務の履行として何らかの給付はなされたが、それが債務の本旨に従った履行とはいえない場合をいいます。履行遅滞、履行不能のいずれにも属さないものをいうとされていますが、給付された目的物に瑕疵がある場合、瑕疵担保責任(民法570条、566条)との関係をどう考えるかで争いがあるとことです。

 

学説の詳しい説明は省略しますが、大きくわけて法定責任説と、契約責任説に分かれます。

 

法定責任説では、特定物についてもっぱら570条が適用されて、415条は不特定物について適用されるとするものです。特定物は、履行期の現状で引渡せば履行が完了するとし(民法483条)、570条は、それによって生じる対価的不均衡を是正するための法定責任を定めるものとするものです。

 

次に、契約責任説は、570条は、売買に関して415条の特則を定めたものと考え、特定物にも不特定物にもまず570条が適用され、さらに415条の債務不履行が補充的に適用されるとするものです。

 

なお、判例は、不特定物売買では、買主が目的物の受領後、瑕疵の存在を認識した上でこれを履行として許容した場合に限り、570条のみが適用されるが、原則として415条の適用があるとすると、よくわからない立場をとっています(最高裁昭和36年12月15日判決参照)特定物については、570条のみが適用されます。

 

最後になりますが、債務不履行に基づく損害賠償請求権は、本来の債権と同一性を有します。したがって、本来の債権の担保は、損害賠償請求権にも及び、時効期間は、本来の債権の性質によって定まり、本来の債権が譲渡される場合に、すでに生じている遅延損害賠償債務は原則として移転することになります。

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