民法37~民法400条(特定物引渡債権における保管義務)~

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弁護士の佐藤です。

 

さて、前回までは、物権とよばれるものをテーマにお話してきましたが、今回からは、債権についてのお話となります。簡単に言ってしまえば、物権とは、物を直接支配する権利であるのに対し、債権とは、他人に一定の行為を要求する権利のことをいいます。

 

そして、今回は、民法400条についてです。民法400条は、特定物引渡債権における保管義務を規定した条文です。

 

民法400条は、

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

とされています。

特定物の引渡債務を負う者、例えば、Aという商品を引き渡さなければ行けない場合に、Aという商品を保管している者の保管義務の通則を定めたものです。しかし、その具体的内容は個別的に契約を解釈して決せられます。この義務は、贈与、売買、使用貸借、賃貸借等にみられます。

 

ここで、善良な管理者の注意(これを善管義務といいます。)とは、債務者の職業、その属する社会的、経済的な地位などにおいて一般的に要求される注意をいい、自分の能力に応じた注意に対する観念です。

 

仮に、債務者がこの義務に違反して、目的物を滅失毀損した場合には、損害賠償義務をおうことになります(民法415条参照)。

 

履行期が過ぎても、実際に引渡をなすまでは善管注意をもって目的物を保存することを要すると考えられていますが、債務者が履行遅滞であるときは、注意義務は加重され、債務者は不可抗力についても責任を負い、反対に債務者が物を提供しても受け取らないという受領遅滞の場合には、注意義務は軽減させることになります。

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