民法33~民法370条(抵当権の効力の及ぶ範囲)~

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弁護士の佐藤です。

さて、本日も前回に続き、抵当権に関することですが、本日は抵当権の効力が及ぶ範囲についてです。抵当権の効力の範囲は、民法370条に規定があります。

民法370条は、

抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第424条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。

と規定されています。

これは、土地建物が別個の不動産であるとする日本の慣習にならって、土地の抵当権を設定しても、抵当権の効力はその土地上の建物に及ばないことは明らかにするとともに、抵当不動産の付加一体物に抵当権の効力が及ぶことを認め、金融取引の円滑化を企図した規定です。

 

まず、付加一体物の意義、範囲については、これと類似した不動産の付合物(民法242条参照)と従物(民法87条)との関係で問題となります。

 

まず、付合物は民法242条の例外を除き、原則としてその不動産の所有権に吸収されるから、付合物に抵当権の効力が及ぶことについて異論がありません。例えば、建物の内外を遮断する建具類、雨戸、取り外しの容易でない庭木、庭石などです。

次に、従物ですが、抵当権設定当時の従物には民法87条2項により抵当権の効力が及ぶとする判例があります。では、抵当権設定後に従物に関しては、判例の見解は分かれており、及ぶとするものと及ばないとするものがあり、また、抵当権の従物に対する対抗力は抵当権登記による根拠として民法370条をあげるものもあります(最高裁昭和44年3月28日判決参照)。

付加一体物に抵当権の効力が及ばないものとしては、242条但書により、他人が権原により付属せせたもののほか、設定行為に別段の定めをした場合も及びません。さらに、抵当権設定者が、他の債権者を害することを知りながら、抵当権の目的物に対して付加行為をし、また、抵当権者も悪意であったときは、事実行為なので詐害行為(民法424条)とは言えませんが、詐害行為類似の関係を生じ、このような場合、他の債権者は、その付加一体物に抵当権の効力が及ばないと主張することができるとされています。

では、最後に、建物自体が合体した場合はどうでしょうか。

例えば、互いに主従関係にないAB2棟の建物が、工事により1棟のCという建物となった場合でも、これによりA又はBに設定されていた抵当権が消滅することはなく、その抵当権は、Cのうち、A又はBの価格の割合に応じて持分を目的として存続します(最高裁平成6年1月25日判決参照)。

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