民法31~民法348条(転質権)~

001

弁護士の佐藤です。

前回は、質権の内容についてお話しましたが、本日は、転質権についてです。

転質権とは、質権者が自己の債務を担保するため質物の存続期間内でさらに質入れすることをいいます。

転質権は、民法348条に規定されています。

民法348条は、

質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。

と規定されています。

これは、質権者が固定した資金を再び流動させることを可能にするために、質権者に転質権を与えたものです。

因みに、質権には、民法350条によって民法298条が準用されています。民法298条は、

  1. 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
  2. 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。
  3. 留置権者が前二項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。

というものです。

では、転質をするには、質権設定者の承諾を要するのでしょうか。

この点、学説では、転質には、350条、298条2項の適用として質権者の承諾を得てなす承諾転質と、348条によって質権者の承諾を得ずに質権者の責任において設定する責任転質とがあるというのが通説で、判例も同様のスタンスだと考えられています。

ここで、責任転質の性質は、学説によってわかれています。あまり詳しく説明することは避けますが、大きく分けて、転質をして常に被担保債権とともに質権が転質権の目的となる共同質入説と被担保債権と分離して原質権で把握した担保価値だけが転質権の目的となるとする質物再度質入説とがあり、判例は後者の立場に立っています。この場合、転質は、質権者が自己の債務の担保のために、質物上に新たな質権を設定するものをいいます。

この転質をした者の責任としては、転質権設定者(原質権者)は、転質をしなかったら生じなかったであろう損害については、たとえ不可抗力であっても、すべてその賠償責任を負うことになります。

次に、原質権者は、自己の把握した担保価値を転質権者に付与したことから、原質権者は原質の担保価値を消滅させてはならないという拘束を受けます。したがって、原質権者は、原質の被担保債権の弁済の受領や免除をすることはできません。

さらに、転質県車が質権を実行するためには、転質の被担保債権の弁済期が到来するだけでなく、原質の被担保債権の弁済期も到来することが必要となります。

ページの先頭へ