民法29~先取特権~

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弁護士の佐藤です。

さて、本日は、担保物権のうち、先取特権についてのお話です。

ここでは、細かい条文を見るというよりも、概要を説明したいと思います。

先取特権とは、一定の類型に属する債権を有する者に付与される、債務者の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利をいいます(民法第303条参照)。

先取特権の性質としては、まず、不可分性があげられ、留置権の不可分性の規定が準用されます(305条参照)が、特約により解除することは可能です。

次に、物上代位性です。先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができます。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければなりません(304条)。

先取特権の効力については、特に定めるもののほか、その性質に反しない限り、抵当権に関する規定が準用されます。

次に、先取特権は一般先取特権、動産先取特権、不動産先取特権に分けられます。

一般先取特権については、以下に掲げる原因より生じた債権を有する者は、一般の先取特権を有します(306条)。

まず、共益の費用です。 各債権者の共同利益のためになした、債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用をいいます(307条1項)。共益の費用中、総債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在します(同条2項)。また、共益費用の先取特権は、その利益を受けた総債権者に対して優先の効力を有します(329条2項但書)。

次に、雇用関係ですが、 給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権をいいます(308条)。

さらに、葬式の費用です。 債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額及び債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式の費用のうち相当な額をいいます(309条1項、2項)。

日用品の供給については、 債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の6か月間の飲食料品・燃料及び電気の供給をいいます(310条)。

動産先取特権については、以下に掲げる原因より生じた債権を有する者は、特定動産の先取特権を有します(311条)。

まず、不動産の賃貸借について、 不動産の賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在します(312条)。建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在します(313条)。賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及び、譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様です(314条)。

なお、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができません(333条)。

不動産先取特権については、以下に掲げる原因より生じた債権を有する者は、特定不動産の先取特権を有します(325条)。

まず、不動産の保存ですが、 不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用をいいます(326条)。なお、保存行為終了後、ただちに登記をしなければいけません(337条)。

次に、不動産の工事ですが、 不動産の工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用をいいます(327条1項)。工事によってした不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増加分についてのみ存在します(同条2項)。なお、工事前に、登記をしなければいけません。新築工事の場合は予算額を記載事項とします(338条)。

さらに、不動産の売買ですが、 不動産の代価とその利息について存在します(328条)。

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