民法28~民法298条(留置物の保管義務)~

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弁護士の佐藤です。

さて、前回から担保物権のうち、留置権についてお話していますが、今回は、留置物の取り扱いについてのお話です。

この点に関し、民法298条は、

  1. 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
  2. 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。
  3. 留置権者が前二項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。

と規定されています。

これは、留置権者のよる目的物の保管は、あくまでも債権担保のためであり、債権が弁済されると目的物を返還すべき義務を負うことから民法は善管注意義務を負わせるとともに、目的物を使用、賃貸、担保に供しない義務を課したのです。

ここで、善管注意義務とは、債務者の属する職業や社会的・経済的地位において取引上で抽象的な平均人として一般的に要求される注意をいいます。

善管注意義務を怠ったために債務者または所有者に損害を生ぜしめた場合は、損害賠償責任を負うことになります。また、この注意義務違反があると、損害発生の有無を問わず債務者または所有者は留置権の消滅を請求できます(本条3項)。

次に、「保存に必要な使用」ですが、この権利は保管義務の履行として認められるものであるため、留置権者の義務でもあり、留置権者に利得させることを目的とするものではありません。したがって、判例では、家屋賃借人が賃借中に支出した費用をもって賃貸借終了後に、引き続きその家屋に居住することは、特別の事情のない限り保存に必要な使用ですが(大判昭和10年5月13日参照)、木造船について留置権に遠洋に航行せしめるのは、保存に必要な範囲を超えるという判例があります(最高裁昭和30年3月4日判決参照)。

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