民法27~民法295条(留置権の内容)~

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弁護士の佐藤です。

さて、前回から担保物権をテーマにお話をしてきていますが、今回から各論ということで、担保物権の一つ、留置権について見ていきます。

民法295条は、

  1. 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
  2. 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

と規定されています。

留置権は、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置して、債務者に心理的圧迫を加えて弁済を間接的に強制する法定担保物権です。これは、公平の原理による制度です。民法295条は、この留置権の成立要件と中心的効力である留置的効力を定めた規定です。

まず、成立要件として、「その物に関して生じた債権」であることが必要です。これを牽連性といいます。ここで、物に関してとは、債権が物自体から生じた場合だけでなく、物の引渡義務と同一の法律関係または生活関係から生じた場合も含みます。

まず、債権が物自体から発生した場合として、以前お話した、占有物に加えた必要費、有益費等の費用償還請求権(民法196条参照)や寄託物の瑕疵から生じた損害賠償請求権などがこれに当たります。

次に、債権が物の返還請求権と同一の法律関係または生活関係より発生した場合として、売買における代金請求権と目的物、傘を取り間違えた場合の返還請求権などがこれにあたります。

次の要件として、「他人の者の占有者」であることが必要です。ここで、他人の物とは、占有者以外の物の所有物であればよく、必ずしも債務者の所有物であることを要しないとされています。

さらに、要件として、「不法行為によって始まった場合」でないことが必要です。つまり、窃盗犯人がその盗品に必要費や有益費を加えても留置権を主張することができないということです。また、本条の類推適用で、正当に始まった占有がその継続中に不法となったときも留置権は成立しません。これは、例えば、債務不履行による解除後に権原のないのを知りながら不法に占拠している賃借人が必要費、有益費を支出した場合等です、ただし、留置権を行使している間にさらに費用を支出したとき、例えば、受寄者が寄託終了後に不払保管料に基づき寄託物を留置した場合、その期間内の保管費用には留置権は成立します(大判昭和9年6月27日参照。

次に効果としては、留置的効力、付従性、随伴性、不可分性があげられますが、本来的効力は、留置的効力です。

ここで、民法は、留置権には、優先弁済的効力は認めていませんが、民事執行法には競売権者に留置権者も含ませています。これは、留置権者には優先弁済権のない競売権が認められていると解されています。

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