民法15~民法194条(占有者の費用償還請求権)~

004

弁護士の佐藤です。

先日、愛犬をつれて近所の城北公園を散歩していたのですが、今年もなんじゃもんじゃの木の花ががきれい咲いていました。名前もさることながら、ビジュアルもかなり不思議な木ですよね。毎年、満開になるのが楽しみです。

 さて、前回は即時取得に関するお話でしたが、今回は占有者の権利である費用償還請求権についてです。

例えば、動産や不動産の占有者が、所有者に対して、動産や不動産を返還する場合、占有期間に費やした費用を所有者にどの程度請求できるかという問題です。

民法には194条に規定されています。

民法194条は、

  1. 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
  2. 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

と規定されています。

これは、無権原の占有者が費用を問うかした占有物の価値を維持・増加させた場合、事務管理や不当利得の規定だけでは十分に解決しえないことから設けられました。

ここに、必要費とは、物の保存に必要な費用、例えば、家屋の修繕や公租公課をいい、有益費とは、物を改良して価値を増加させる費用、例えば、排水工事や通路の舗装などを言います。

そして、民法194条によれば、必要費は全額を請求でき、有益費は、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、支出した額、または現存増加額のいずれかを償還請求できるにすぎません。

なお、必要費は、特別の必要費(例えば、大修繕費など)と通常の必要費(小修繕費や公租公課など)に分けられ、特別の修繕費は、常に請求できますが、通常の必要費は、果実を取得したときは、それを支弁できるので、請求はできません。ここで、果実とは、天然果実と法定果実に分けられ、天然果実は、文字通り、果樹園で採取された果実や菜園で収穫した野菜などをいい、法定果実とは、賃貸用マンションの賃料などのことを言います。

そして、償還請求できる額は、必要費、有益費ともに占有者の善意悪意、つまり自分のでないと知っているか否かを問いません。

また、必要費、有益費の償還請求権は、留置権、つまり、お金をもってこないと物を返せないという主張ができますが、有益費については、悪意占有者に留置権が成立しない場合があるというのが2項但書に規定されている意味です。

ページの先頭へ