民事執行7~不動産の引渡し等について~

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弁護士の佐藤です。

さて、前回までは金銭執行についてお話してきましたが、今回は非金銭執行のうち不動産の引渡し、明渡しについてです。

どういう場合かというと、家を貸しているのに、家賃を払わないため、不動産の賃貸借契約を解除し、家を引き渡すよう請求したが、出て行かず、裁判をして勝ったにも係わらず出て行ってもらえないというような事案です。

つまり、不動産の引渡し、明渡しを目的として、執行官が債務者を直接強制することにより、当該不動産の占有を債権者に取得させる手続です。

引渡しとは、単に債務者が目的不動産の占有を解き、債権者にその占有を取得させることをいい、明渡しとは、単に占有を解くのみならず、中の物品など取り除いて、完全に債権者に占有を取得させることいいます。

なお、引換給付判決(例、債権者が金銭を支払ってはじめて家屋の明け渡しを命ずる債務名義) の場合は、債権者側が、自分がなすべきことはしたということを証明しなければ執行することができません。

執行官は、原則として1ヶ月を経過する日を引渡し期限と定めて、明け渡しの催告をすることができます。そして、執行官は、明け渡しの催告をした旨、引渡し期限及び占有移転が禁止されている旨を公示します。

催告後は、債務者は債権者以外のものに占有を移転することを禁じられます。たとえ、他のものに占有を移転したとしても、債権者は、その変更後の占有者を対象として、承継執行文の付与を要しないで強制執行をすることができます。

執行は、執行官が債務者の目的物に対する占有を解いて、債権者にその占有を取得させます。そのため、債権者又はその代理人が執行場所に出頭していなければ執行ができません。

執行時にその不動産に残された動産はこれを取り除き債務者等に引き渡さなければいけません。引き渡しができない場合は、執行官はこれらの動産を売却、保管することになります。

なお、明け渡し執行の申立を行う場合は、その不動産にある債務者の動産につき、動産執行を申し立てるか否か、検討する必要があります。

動産執行を申し立てない場合は、例えば、明け渡し執行時に高価な絵画などがあることがわかってもそれは債務者に渡されることになってしまいます。しかし、同時に動産執行を申し立てると、この絵画を差押え、債権者は売却代金から債権の満足を得ることができるのです。

例えば、賃料不払いの賃借人を追い出す場合などは、単に明け渡しを受けるだけでなく、未払賃料についても回収することがベストであるため、同時に動産執行を申し立てる場合が多いといえます。

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