民事執行6~債権執行について②~

008

弁護士の佐藤です。

さて、少し時間があいてしまいましたが、前回、民事執行のうち債権執行についてお話しました。今回はその後編です。

ところで、債権執行をする際、債権者は債務者と第三債務者の債権の存否及びその範囲等を正確に把握しているとは限りません。既に第三債務者は債務者に弁済をしてしまっているかもしれません。

そこで、被差押債権が支払を受けられるかどうか等を第三債務者に陳述させる手続が、第三債務者に対する陳述催告の申立というものです。

債権者が裁判所に対し、陳述催告の申立をすることにより、第三債務者は二週間以内に書面で陳述を行います。

続いて、転付命令という制度もあります。転付命令とは、被差押債権を債務者から債権者に支払いに代えて券面額で移転させる命令です。

例えば、債務者が、第三債務者に対して50万円の債権(A差押債権) を有しており,債権差押命令の申立人が債務者に対して100万円(請求債権) の債権を有していた場合,転付命令により,債権者は 差押債権を譲り受け,直接第三債務者に対して請求をすることが可能になる一方,債務者は請求債権のうち差押債権の券面額50万円については既に支払ったものとされ、債権者は第三債務者に対して50万円の債権を取得し、債務者に対しては50万円の債権のみが残り、50万円以上の請求を債務者にすることはできないというものです。

特に注意が必要なのは、転付命令は、差押債権の券面額で債務者が弁済したことにするため、請求債権額以上の金額の債権の差押はできない点です。100万円の請求債権のために債務者の有する200万円の債権につき差押、転付命令を申し立てる場合も、200万円全額の差し押えはできず、そのうち、100万円についてのみ差押、転付命令を申し立てることになります。200万円全額につき転付命令がなされると、請求債権が100万円であるにもかかわらず、200万円を弁済したことになってしまうからです。

また、差押債権については券面額が必要となるため、券面額のわからない将来の給料債権や将来の賃料債権の差押はできません。

第三債務者が資力ある者である場合はよいのですが、第三債務者が資力が無い場合,下手に転付命令を申し立てると逆に債権の回収ができなくなる可能性もあるので、注意が必要です。

差押は、第三債務者に差押命令が送達されたときに効力を生じます。これにより第三債務者は債務者への弁済を禁止されるため、実質的に債務者はその債権の処分権を失うことになります。もし、差押の効力発生後,第三債務者が債務者へ支払いをしてしまったとしても、債権者はその分の支払いを第三債務者に請求することができます。つまり、第三債務者が禁止されているにもかかわらず債務者へ支払ってしまった場合,第三債務者は二重払いをしなければいけなくなるのです。

換価の手続は他の金銭執行と違い、裁判所や執行官が関与せず、債権者が直接行うことになります。

債権者は、債務者が差押命令を受け取って1週間経つと,差押債権が供託された場合を除き,第三債務者に対して,直接,差押債権の支払いを求めることができます。

ページの先頭へ