死者の占有

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弁護士の佐藤です。

 

明日は休日なので、今週は今日が最後です。

 

で、来週で今年の業務も終了します。

 

あらためてご連絡しますが、年末年始は、平成28年12月28日から平成29年1月9日までお休みを頂きます。みなさまにはご迷惑をおかけしますが、ご理解の方、よろしくお願い申し上げます。

 

もっとも、わたくし、来年しょっぱなからまた司法修習生の指導担当、しかも主任になることになっておりまして、わたくし個人は、1月5日から働かなければいけません・・・・。

 

で、気を取り直して、本日も刑法に関する判例のうち、窃盗罪の成否が問題となった判例をご紹介します。

 

本日ご紹介する判例は、死亡直後の窃盗の成否の有無という問題です。

 

どういう事案かといいますと、被告人は、被害者を殺害後、被害者が身につけていた時計を領得する意思が生じ、実際に時計と盗ったというものです。因みに、被害者を殺害する前から時計をとる意思があった場合には、問題なく強盗殺人罪が成立します。

問題は、殺害後であり、被害者がなくなった以上、死者の占有という概念もなくなるのではないかという問題です。

 

この点、昭和41年4月8日最高裁裁判所判決は、

 

「披告人は、当初から財物を領得する意思は有していなかつたが、野外において、人を殺害した後、領得の意思を生じ、右犯行直後、その現場において、被害者が身につけていた時計を奪取したのてあつて、このような場合には、被害者が生前有していた財物の所持はその死亡直後においてもなお継続して保護するのが法の目的にかなうものというべきである。そうすると、被害者からその財物の占有を離脱させた自己の行為を利用して右財物を奪取した一連の被告人の行為は、これを全体的に考察して、他人の財物に対する所持を侵害したものというべきてあるから、右奪取行為は、占有離脱物横領ではなく、窃盗罪を構成するものと解するのが相当である」

 

として、死亡後であっても、窃盗罪の成立を認めました。

 

もっとも、上記最高裁は、窃盗罪成立の理由を、「被害者が生前有していた財物の所持はその死亡直後においてもなお継続して保護するのが法の目的にかなう」と述べているにすぎず、具体的に、どのくらいの時間が経過した場合には、窃盗罪が成立しなくなるのかということに関しては、本判決では述べていません。

死者の占有については、判例が多くあるとことであり、次回以降も判例をご紹介していきたいと思います。

 

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