業務妨害罪の業務性

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弁護士の佐藤です。

 

なんと、11月があっというまにさり、ついに今年も12月です・・・。

 

今年は新しい仲間が増え、本来年末に中途半端にやっていた大掃除を、くそ暑い7月にやったりなど、何かバタバタした一年でございました。

 

そしてまた日がたち、掃除したはずの自分のエリアがいつのまにか、エリアではなくなってきており、年末の大掃除が憂鬱で仕方がありません。

 

で、気持ちを入れ替え、また刑法に関する判例を見ていきますが、本日からまた罪名を変え、業務妨害罪に関する判例を見ていきたいと思います。

まず、規定ですが、刑法234条は、

 

威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

とし、威力業務妨害罪を規定し、前条である刑法233条は、

 

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

と規定し、信用毀損及び業務妨害罪を定めています。

 

当然のごとく、上記罪名は、「業務」を妨害するものではなくてはならず、本日ご紹介する判例も業務性が問題となったものです。

 

事案は、被告人が、とある団体の結成式を妨害したというものです。

この点、東京高等裁判所昭和30年8月30日判決は、

 

「原判決がその理由において、判示第三の後段の事実として、『(前略)被告人はG等多数と共に同会場(大韓民国H団I支部結成式会場)内に故なく侵入し以つて元J連側多数の威力を示した為右威圧に押されて会場内のL団員は結成式の開始に至らない前に場外に退去するを余儀なくせられ以つて大衆の威力を用いて前記H団I支部の業務を妨害し』との旨を認定判示し、これに対して、刑法第二百三十四条を適用していることは所論のとおりである。しかして、所論は、右は、原判決が刑法第二百三十四条の解釈適用を誤つたものである旨を主張するので、審究するに、刑法第二百三十四条にいわゆる業務とは、継続して従事する仕事をいうものと解されるが、ここに継続するというがためには、継続して行う意思の下になされるものであることを要すると解されるのであるから、仕事の性質上、継続して行うことのできないようなものは、右法条にいわゆる業務の観念に属しないものというべく、従つて、ある団体の結成式というような行事は、その性質上、一回的一時的なものであつて、何ら継続的な要素を含まないものであるから、これをもつてその団体の業務であるとすることはできないものといわなければならない。しかるに、原判決においては、前示のように、被告人が大韓民国H団I支部の結成式の挙行を妨害したとの事実を認定し、その所為が同支部の業務を妨害したことに該当する旨を判示した上、これに対して刑法第二百三十四条を適用しているのであるが、右のような結成式の挙行という行事が、同支部の業務にあたらないことは、前示説明のとおりであるから、たとえ被告人において威力を用いてこれを妨害したとしても、その行為は、刑法第二百三十四条所定の威力業務妨害罪を構成しないものといわなければならない。してみれば、原判決は、ひつきょう刑法第二百三十四条の解釈を誤つた結果、罪とならない事実に対し、不法に同法条を適用したものというべく、この法令適用の誤が、判決に影響を及ぼすべきことは極めて明らかであるから、原判決は、この点において到底破棄を免れない。論旨は理由がある。」

 

とし、結成式の業務性を否定した判断を示しました。

 

もっとも、上記高等裁判所判決は、建造物侵入罪の限りで、犯罪を認めています。

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