慰謝料~離婚~

030

弁護士の佐藤です。

 

よいお天気です。

 

というか、夏日ですね・・・。

 

 

 

さて、これまで民法改正に関するお話をしてきましたが、本日からテーマを変え、日本の裁判で認められる慰謝料について、判例を交えて、お話していこうかと思います。

 

というのも、事案によるのですが、日本の裁判で認められる慰謝料は、想像している以上の低いと、これまでも話をしてきたのですが、もう少し具体的な事例で検証できればと思っておりました。

 

 

どういうポイントで、慰謝料が増減するのかを簡単にお話できればと思っております。

 

 

で、第1回目の本日は、一般の相談でもっとも多いであろう離婚の慰謝料についてです。

 

本日紹介する事例は、婚姻期間52年のうち、同居は8年という夫婦で、婚姻8年目に夫の不貞が発覚し、以後、別居が開始。夫は、不貞相手と同居し、2子が誕生しているというものです。

 

この点、東京高裁平成1年11月22日判決は、まず、そもそも不貞をした有責配偶者である夫からの離婚請求が認められるのかという点につき、原則的に認められないとしながら、

 

「控訴人と被控訴人とは昭和一二年二月一日婚姻届をし、控訴人が昭和一七年から昭和二一年まで南方で従軍した約四年間を除き平穏に同居生活を続けてきたが、被控訴人が昭和二四年ころ控訴人と・・との間に継続していた不貞な関係を知ったのを契機として不和となり、同年八月ころ控訴人が・・と同棲するようになり、以来今日まで四〇年間別居の状態にあり、控訴人は現在・・と同居して、被控訴人と共同生活を営む意思を確定的に失い、夫婦として円満な婚姻関係を回復する見込みはなく、両者の婚姻関係は既に破綻して久しく経過していること、控訴人は七七歳、被控訴人は七三歳の高齢に達し、両者の間に子が生まれなかったことを考慮すると、特段の事情の存しない限り、控訴人の離婚請求は認容されるべきである。」

 

 

として、夫からの離婚請求を認めながら、妻の夫に対する慰謝料については、

 

 

「被控訴人は破綻の原因を作出していないのに自己の意思に反して強制的に離婚させられ、控訴人が不貞の相手方たる・・・・と法律上の婚姻ができる状態になることは被控訴人に多大の精神的苦痛を与えることは明らかであり、控訴人が・・・・と生活して二人の子供も生まれ、一家によって会社を経営し、相当程度の生活を営んでいることは前記のとおりであり、一方、被控訴人は実兄の家に身を寄せ、今日まで単身生活を送ってきたこと、その他一切の事情を斟酌するならば、被控訴人の精神的苦痛(控訴人が破綻原因を作ってから本件慰藉料請求反訴状が控訴人に送達された平成元年七月二八日まで)を慰藉するには一五〇〇万円をもって相当というべきであり、控訴人は被控訴人に対し右金員及びこれに対する不法行為の後である平成元年七月二九日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。」

 

 

として、離婚の慰謝料としては、かなり高額なお1500万円の慰謝料を認容しました。

 

 

離婚について、ここまでの高額な慰謝料案件はほとんどみたことがありませんが、本件の特殊な事案としては、別居期間が長いこと、原因が夫の不貞にあるばかりか、不貞相手との間で子供がいること、別居期間の生活レベルの差(夫は会社経営)と、別居後の事情(夫は不貞相手と婚姻できること)などの事情から、このような高額な慰謝料になったものと思われます。

 

 

なかなかここまでの慰謝料の事案は、今後もないのかなあと思われ、かなり特殊なケースといえるでしょう。

 

 

公平の観点からは妥当ともいえるのではないでしょうか。

 

 

 

というわけで、本日は離婚の慰謝料に関する判例の紹介でございました。

ページの先頭へ