慰謝料~相隣関係~

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弁護士の佐藤です。 

 

今週もはじまりました。

 

さて、本日も慰謝料の関する判例をみていきたいと思うのですが、先週まで名誉毀損に関する慰謝料が問題となった判例を取り上げてきたところ、だいぶ回数を重ねてきましたので、本日からはテーマを変え、相隣関係に関する慰謝料をみていきたいと思います。

 

 

相隣関係とは、隣りあった土地の間の法律的関係をいい、例えば、騒音とか日照等の問題があげられます。

 

 

そして、本日取り上げる判例は日照が問題となった事案で、具体的には、被告らが建築基準法に違反する三階建て建物を建築したため、それに隣接する原告らの土地建物について日照、採光、通風が著しく阻害され、それによって、原告らは湿気や冬場の寒さに悩まされ、かつ、ストーブの排気ガスによる健康障害も発生しているとして、主位的に原告らの土地所有権及び人格権に基づき被告らの建物の一部撤去請求を、予備的に被告らに対する日照権侵害の不法行為に基づく損害賠償等を請求したものです。

 

 

この点に関し、東京地裁平成7年2月3日判決は、本件事案の事実認定につき、まず、

 

「一方で、被告・・らは、申請建物と全く異なる三階建ての被告建物を建築し、右建物が旧日影規制等の第二種住居専用地域を前提とする諸規制に違反していたこと、被告建物の建築により、原告第一建物二階南西側和室南西側開口部には、申請建物の場合全くそれによる日影が生じなかったにもかかわらず約四時間半(是正工事後は約四時間)の日影が生じ、同和室の照度に悪影響を及ぼし、一階南西側和室、板の間、応接室の南西側開口部には申請建物の場合より約一時間長い日影が生じ、一階応接室の南東側開口部には申請建物の場合より約三時間長い日影が生じていること、原告第二建物南東側開口部には申請建物の場合より約一時間長い日影が及んでいることが認められる。」

 

 

とした上で、さらに、

 

「しかし、他方で、被告土地の周辺、特に瑞江駅西通りの北側沿道は、駐車場及び二階建て建物がほとんどであるものの、右地域には、昭和六一年頃から下鎌田地区再開発の一環として瑞江駅西通りの整備及及び後背地への交通騒音防止のために沿道を中高層化する計画が存在し、その具体化により平成五年二月に用途地域が第二種住居専用地域から住居地域に変更され、それに伴う諸規制の変更により被告建物の規制違反の多くが解消したこと、原告第一建物の応接室付近及び原告第二建物の南東側は、被告土地との境界線にかなり接近して建っており、また原告第一建物は、原告第二建物の北(北東)側に建っていることから原告第一建物一階の南西側開口部及び原告第二建物の南東側開口部(特に従業員らの居住部分である北東側)は、申請建物の場合であっても十分な日照は期待できないこと、原告第一建物の応接室の照度は、冬至から一カ月後の測定結果によれば、比較的良好であること、圧迫感、通風の悪さという点は、被告建物のみならず、原告第一、二建物の位置にも問題があること、原告第二建物については、その南西側は倉庫(一階)、作業場(二階)であること、原告らは平成元年一二月の被告建物の上棟の段階でそれが三階建てであることを認識していながら、翌年五月に完成するまで原告らの建物への日照被害を問題とし、被告建物の是正等の申し入れを一切行っていないこと、被告・・らは平成三年六月頃に被告江戸川区の指導に従って被告建物の一部につき是正工事を行ったこと、原告らの希望した原告第一、二土地を利用した三階建てマンションは、旧規制にも適合していたにもかかわらず、原告らは結局それを建てず、原告第一建物の二階一部増築等を行ったことが認められる。」

 

 

としました。

 

 

そして、撤去請求に対しては、

 

「そうすると、現段階において原告らによる被告建物の一部撤去請求を根拠づけるだけの受忍限度を超える侵害状態があるということはできない。」

 

としながらも、慰謝料につき、

 

「しかし、被告建物建築時における原告第一建物二階南西側和室に対する日照阻害の程度は(是正工事により多少改善されたものの)受忍限度を超えるものであったというべきであり、被告・・らには、三階建て建物を建てる認識があった以上、右のような日照阻害が生じることについて少なくとも過失があったといえる。」

 

として、最終的に、

 

「(なお、原告第一建物のその他の部屋及び原告第二建物については前記各事情に照らし受忍限度を超える日照阻害があったとはいえない。)但し、前記再開発計画の具体化がされるにつれ、受忍限度の程度が上昇するのはやむを得ないことであって、遅くとも平成五年二月までには右程度の日照阻害も受忍限度の範囲内に入るようになったというべきである。 そして、受忍限度を超える部分が原告第一建物の一部であることや被告・・が是正工事を行っていること及び前述のような原告側の事情を考慮すれば、本件の日照阻害による原告らの精神的損害は、原告一人につき一五万円が相当である。」

 

 

として、一人当たり15万円の限りで慰謝料を認めました。

 

 

日照の問題は、件数としてはそれほど多くないものの、これまで私が受けた相談では、悩みの深さは深刻なものが多いわりに、判例で認められる慰謝料は一般的に、本件のように低額なものが多いといえます。

 

 

 

 

というわけで、本日は、相隣関係の問題のうち、日照に関する慰謝料の判例をご紹介しました。

 

 

今週も気合いを入れてがんばります。

 

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