慰謝料~相隣関係⑧~

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弁護士の佐藤です。

 

今週もどんよりした空のもと始まりました。

 

さて、本日も、相隣関係の中で、騒音の慰謝料が問題となった事案をご紹介していきたいと思います。

 

まず事案ですが、原告の所有建物の所在地は幹都市計画法に基づく第二種住居専用地域に指定されているところ、被告は、原告住所地の隣地を借地し、カラオケ店を運営してきたところ、原告が、カラオケ店からの騒音を理由に、営業の差し止め及び慰謝料請求したという事案です。

 

この点に関し、札幌地裁平成3年5月10日判決は、

 

「原告らが、前記のとおり、第二種住宅専用地域であって住宅街である本件地域に先住し平穏に生活していたところへ、被告が前記のような態様で、原告・・ら及び同・・ら居宅と背中合わせのような形で突然本件カラオケボックスの営業を始め、原告らを含めた地域住民多数の反対を押し切って午前三時過ぎに至るまでの深夜営業を続行し、右営業に伴う前記騒音により原告・・・・、同・・・・、同・・・・らの睡眠を妨害しているというべきであるから、本件カラオケボックス営業が、右原告三名の人格権及び原告・・・・、同・・・・の建物所有権の内容といいうる休息の場としての住宅の機能にも影響を与えているといえるが、さらに本件カラオケボックス営業に伴う騒音が受忍限度を越え差止めをなしうるか否かを判断するにあたっては、公的な諸基準に照らし判断する必要がある。」

 

 

とした上で、本件につき、

 

 

「本件カラオケボックス周辺地域は第二種住居専用地域であるから、公害基本対策法第九条に基づく騒音についての環境基準(昭和四六年五月二五日閣議決定)の『一般地域A主として住居の用に供される地域』に該当し、右環境基準は夜間については四〇ホン(ホンはdB(A)の別称である。)であり、札幌市公害防止条例一六条をうけた同規則第七条別表5(騒音に係る排出基準)における第二種地域に該当し、同条例一六条の特定施設を設置する工場の設置者が遵守すべき基準(規制基準)は夜間(午後一〇時から午前六時まて)四〇ホンであるとされていることが認められるから、特段の事情のない以上、本件においても右数値を基準に考えるのが相当である。しかるところ、前記各調査結果によると、午後一〇時以降の騒音は右基準値を上回る数値となっているが、午前○時までは、右基準値を上回る前面道路からの騒音を中心にした環境騒音が存在していて、本件カラオケボックス営業に伴う騒音にほぼ匹敵し、境界地上五メートルにおいては午前○時までは、環境騒音が本件カラオケボックス営業時の騒音を上回っている場合すら存在する(午後一一時から一二時までの境界地上五メートルにおけるL5及びL50の比較による。)一方、本件カラオケボックス営業に伴う騒音が右環境騒音を上回り全体の騒音に対する影響が顕著になるのは午前○時以降であって、本件カラオケボックスのカラオケ音のみでも、午前○時以降は・・ら居宅三階和室で三七ないし四六dB(A)境界地上五メートルで四六ないし五三dB(A)同一・二メートルの地点で五〇ないし五八dB(A) (以上別紙表4ないし6多照)と右各基準値を上回っており、これに利用客、利用車両、その他の本件カラオケボックス営業に伴う騒音があることを考えれば、前記各基準値を優に上回るということができる(別紙表8参照)。これに対応して、原告・・ら及び同・・らの睡眠の妨害が顕著になるのは午前○時以降であるということができる。」

 

 

と事実認定をしました。

 

 

そして、

 

 

「右原告三名が前記被害につき精神的苦痛をうけたことは見やすい道理であり、被告は、前記原告らを含む住民多数との交渉過程を経て、深夜の営業が同人らの権利、利益を侵害する可能性につき予見できたということができ、少なくとも、午前○時以降の営業により同人らの睡眠等を妨げる結果の発生しうることを予想しえたというべきところ、あえて午前○時以降の営業の開始・続行をしたのであるから、過失があるということができ、右原告三名に対し慰謝料を支払うべき義務がある。」

 

 

としつつも、

 

「以上により、原告・・・・、同・・・・、同・・・・は、本件カラオケボックスの午前○時以降の営業を差し止める権利及び精神的苦痛等に対する慰謝料請求権を有するといえるが、午前○時以前の営業を差し止める権利は、その営業に伴う騒音が違法とまでは認められない水準であるから認められず、また、その余の原告らは具体的被害が生じたことを認めるに足る的確な証拠がないから、右のような権利があるとはいえない。」

 

 

とし、午前0時を境に、午前0時以降について、違法性を認め、慰謝料については、

 

 

「原告・・・・、同・・・・及び同・・・・の請求は、本件カラオケボックスの午前○時から四時までの営業の差止めと原告・・・・につき金三〇万円、原告・・・・、同・・・・につき各金二〇万円」

 

 

としました。

 

 

 

慰謝料の額の根拠については、よくわかりませんが、本件では、精神的被害だけではなく、身体的被害を認めたことに意義のある判決だと思います。

 

 

というわけで、本件も騒音に関する判例のご紹介でした。

 

 

今週も気合いをいれてがんばります。

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