慰謝料~相隣関係④~

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弁護士の佐藤です。

 

 

さて、前回お話したように今回は眺望に関する前回判決の控訴審をご紹介したいと思います。

 

 

事案は、前回ご紹介したとおりですが、控訴審である大阪高裁平成10年11月6日は、

 

 

「建物居住者の眺望の利益は、建物の所有ないし占有と密接に結びついた生活利益ではあるが、右建物の所有者ないし占有者が建物自体について有する排他的、独占的な支配と同じ意味で支配、享受できる利益ではなく、たまたま特定の場所を占有することから事実上享受しうる利益にすぎないものであることと、四囲の客観的状況の変化による内容の変容が本来的に内包されているものであることからいって、そのすべてが法的保護の対象となるものではないのであって、その眺望が社会観念上独自の生活利益として承認されるべき重要性を有している場合にはじめて法的保護の対象となるというべきである。そして、右法的保護の対象となる眺望利益の侵害がなされた場合に、それが、被侵害者に対する関係で違法不当な侵害となるのは、被害建物の立地環境、位置、構造、眺望状況、建築・使用目的、加害建物の立地環境、位置、構造、眺望妨害の状況、建築・使用目的、眺望妨害についての害意の有無等を含む諸般の事情を勘案して受忍限度を越えると認められる場合に限られるというべきである。」

 

 

と一般論を示した上、本件に対する当てはめについて、

 

 

「前記認定事実によれば、本件居宅の眺望は、中高層住宅の利用を前提とする「第一種中高層住居専用地域」(平成五年の都市計画法改正前は「第二種住居専用地域」)における一般住宅の眺望であって、被控訴人が主張するように、不動産業者から見晴らしの良い土地として本件居宅敷地を紹介され、これを購入したとしても、当該業者が近隣地も所有して、被控訴人の敷地の眺望を権利として保証・容認したり、近隣地所有者との間に眺望を目的とする地役権を設定したわけではなく、単に、本件居宅敷地が付近より高台に位置し、周辺が未開発であったことからこれまで眺望利益を享受しえたにすぎないものであることが明らかであるから、右のような本件居宅の眺望を法的保護に値する生活利益であるとみることは極めて困難であると考えられる。そして、右の点を肯認しうる余地があるとしても、前記本件居住の眺望の性質、内容に、控訴人が都市計画法上の用途区分に沿った高度利用を目的として取得した土地に都市計画法、建築基準法等の建築関係法規に従い、必要な開発許可や建築確認を得たうえ、地元自治会や水利組合などに対する説明や協議を行い、地元自治会との間に建物の規模、構造、配置等に関する協定を取り交わして本件マンション建築を実行してきていること(右建築が被控訴人ら近隣者に対する害意があるものとは到底認めがたい。)などを考慮すれぱ(ママ)、本件にあっては、いまだ受忍限度を越えることの立証がないというほかないから、眺望利益の侵害を理由とする損害賠償請求は理由がない。」

 

 

として、第一審判決とは真逆の判断を示しました。

 

 

このように、眺望の利益については、直接人の生命身体に関わることではないため、判例は厳しい態度をとっているといえます。

 

 

 

というわけで、本日も眺望に関する判例をご紹介致しました。

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