慰謝料~相隣関係②~

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弁護士の佐藤です。

 

 

さて、本日も相隣関係の問題での慰謝料の判例をみていきたいのですが、本日も前回同様、日照等の問題です。

 

 

具体的には、原告は、その隣人である被告が建築基準法に違反する建物を新築したために、原告所有の土地建物について通風、日照、採光が不良となり、冬には日中でも点灯、暖房が必要となり、湿気も増すなど被害を受ける状態となったことから、被告に対し損害賠償請求をしたというものです。

 

この点に関し、東京地裁平成3年8月27日判決は、

 

「建物の建築が隣地土地上の建物の日照、採光、通風を妨げたからといって、そのことにより、直ちに不法行為が成立するものではないが、右建物の建築が権利の行使、態様、その結果において、社会観念 妥当性を欠き、これによって生じた損害が、社会生活上一般的に被害者において受忍する限度を越えたと認められるときは、右建築行為は、違法性を帯 、不法行為責任を生じるものというべきである。」

 

 

という基準を設定した上、

 

「本件において、被告・・のした本件建物建築行為は、建築主事による建築確認を経た建物とは異なるものであるばかりでなく、建ぺい率、容積率、北側斜線の制限において、いずれも建築基準法に違反している(右違反は、その後の建ぺい率、容積率の改正によっても、なお、残存している。)のみならず、練馬区長から工事停止命令が出されたにもかかわらず、これを無視して強行し、その結果、少なくとも、被告・・の過失により、原告の居宅の日照、採光、通風を妨害するに至ったものであり、しかも、本件土地付近は、第一種住居専用地域、第一種高度地区たる住宅地であって、右のごとき違反行為を受忍すべき地域ではなく、他方、原告としては、被告・・の建物建築が、建築基準法の基準内であり、かつ、建築主事の確認手続を経由することにより、一定範囲の日照、通風を期待することができ、その範囲の日照、通風が原告に保証される結果になるのにかかわらず、被告・・のした本件建物建築により、住宅地域にありながら、日照、通風を大幅に奪われ、不快な生活を余儀なくされたのである。」

 

とし、

 

「したがって、被告・・の本件建物の建築は、社会観念上妥当な権利の行使の範囲を超え、原告の受忍限度を超えたもので、違法であって、被告河西に右建築につき、少なくとも過失があったことは明らかであるから、被告河西は、右不法行為により原口が被った損害を賠償すべき責任がある。」

 

として、不法行為の成立を認め、慰謝料の額については、

 

「先に認定したとおり、原告は、被告・・が本件建物を建築したことにより日照、採光、通風の障害を受けており、精神的苦痛を被ったものと認められるところ、前示一の各事情その他の一切を総合勘案すれば、右苦痛に対する慰謝料の額としては、一五〇万円をもって相当と認める。」

 

 

として、150万円の慰謝料を認めました。

 

 

前回ご紹介した慰謝料が15万円だったの対し、本件が150万円となった理由としては、前回の判例が現在の状態では受忍限度内として、過去分についての慰謝料を認めたこと、日照以外の被害については、前回の判例は認めていないこと、本件は、建築基準法違反以外にも、練馬区長の工事停止命令を無視していること、原告宅が第一種住居専用地であったことが上げられると思います。

 

 

 

というわけで、本日も日照等に関する判例をご紹介しました。

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