慰謝料~婚約破棄~

IMG_1755

弁護士の佐藤です。

 

本日も午前、午後と静岡地裁で裁判となっております。

 

さて、本日も慰謝料に関する判例をご紹介していきたいと思うのですが、前回までが内縁関係の破棄であったのに対し、本日は、婚約破棄に関する判例をご紹介していきたいと思います。

 

まず、法的にいうと、婚約破棄とは、婚姻予約の不履行をいい、正当な理由がなくなされた婚約破棄については債務不履行となり、破棄した者は、損害賠償義務を負うこととされています。

 

 

内縁関係の問題と重なるところもあり、婚姻予約がそもそもなされていたのかが問題となることも多い事案で、当事者の主観だけでなく、ある程度客観的な事情が必要となるところです。

 

 

で、本日ご紹介する事案は、京都地裁昭和45年1月28日判決なのですが、まず、男女間の婚約の成立については、

 

 

「原告は被告と交際開始後いわゆる恋愛関係に陥り被告の求婚に対し、家庭が貧困であるからとして一時はこれを拒否したが、被告の貧困など意に介しないから是非結婚してほしいとの言を信じで、被告と結婚することを約束し、昭和三五年三月ごろから同年六月ごろまでの間、市内旅館二階の一室において同年七月ごろ被告が現住所に歯科医院を開業してからは同所で事実上の夫婦生活を営んでいたこと、同年八月ころ、原告は被告の子を流産したこと、その後引続き同所に同棲していたところ昭和三六年九月ごろ原告は被告の子を懐抽したが、原告の要求により昭和三七年一月、○○○市内の病院において、中絶手術をしたこと、その後、原告は被告から同居を拒否され○○市・・病院等で、看護婦として勤務していたが、同三七年九月頃、被告は原告の両親宅を訪れ、同人らに対し、『是非とも原告が自分のところへ戻つてくれる様取計つてくれ、今度帰つてくれれば直ちに、結婚式を挙げ、正式に妻として婚姻届をする。』というので、原告は両親からこのことを聞き、同月二七日ごろ再び被告の元へ帰り、翌二八年二月、被告から追出されるまで同居生活をつづけ、その間、昭和三七年一一月ごろ原告は被告の子を懐胎したことを認めることが出来る。」

 

 

と認定し、男女間の婚約の成立を認めました。

 

 

そして、婚姻予約不履行に基づく損害賠償請求については、

 

「原告と被告とは右同居以来比較的順調に日を送り、被告及び実兄も一時は原告と正式に挙式し入籍することも考えていたが、そのうち被告は原告が・・・に入会し、その信仰のため家事を顧みない傾向にあることを知り、被告は、右信仰が円満な家庭生活の妨げとなるので、これをやめるよう勧告し、実兄も、もしやめないときは、被告との正式な結婚も出来難い旨意見した。これに対し原告は、信仰をやめると言明はしたが、依然として信仰をつづけていた。」

 

 

とした上で、

 

 

「被告としても、一旦は、原告と婚姻することを心に決めていたが、再三にわたる勧告にもかかわらず原告が・・・・の信仰をやめないことが直接の原因となつて、遂に原告との婚姻を拒否するに至つたことは前記認定のとおりであり、この点につき、原告が今少し、被告及び兄の勧告に素直に従つていたら、このような結果も生じなかつたのではないかとも思われ、このような破局を招いたにつき原告に責任なしとは言い切れない。しかしながら被告との同棲以来、流産、中絶、同居拒否等不安定な生活を送つてきた原告が、信仰により精神的な救いを得ようとしたことには無理からぬところもあり、又、信仰の自由は憲法にも保障されたところであつて、信仰の故をもつて、婚姻予約を破棄することは正当な理由ありと認め難い。従つて被告は婚姻予約不履行を原因として、これによつて蒙つた原告の損害を賠償すべき義務があるといわねばならない。」

 

 

とし、被告に100万円の慰謝料の支払いを命じました。

 

 

これまでご紹介してきた事案に比し、本件の事案の内容は重く、慰謝料としては、低額な気がしますが、これは、請求金額がそもそも100万円で、満額の認定であったため、もう少し高めの請求であれば、100万円以上の認定もあったのかもしれません。

 

 

 

というわけで、本日は、婚約破棄に関する判例をご紹介しました。

 

ページの先頭へ