慰謝料~夫婦間の不協力~

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弁護士の佐藤です。

 

さて、本日も慰謝料について、判例の紹介をしていきたいと思うのですが、本日は、婚姻期間39年の熟年夫婦の離婚問題で、一方の配偶者に対する不貞や離婚が問題となっていないものの、夫の家事等への不協力などが原因として、妻から夫へ離婚を請求した事案です。

 

 

この点、横浜地裁相模原支部平成11年7月30日判決は、

 

 

「原告は、原告にとって被告との結婚生活は、原告自身の感情や望みは押し殺して、趣味を楽しむことも許されず、ひたすら被告の意を迎えることのみに心を砕く生活であったと、婚姻後まもなくからの生活状況について縷々主張をし、これに沿う陳述をし、これに対して、被告は、原告主張の事実の殆どについて逐一否定し、離婚理由は存在しないと縷々主張し、これに沿う陳述をしている。双方が自宅への来客の頻度等に至るまで詳細な事実主張、陳述をしているが、結婚後間もないころの状況がそれほど重要なこととは解されない。それよりも、手術を重ねていき体力が衰えていく中での原告の心境、これに対する被告の理解、対応が問題である。」

 

とした上で、

 

「被告が原告に対し暴力を振るったり、不貞行為に及んだりしていないことは前記のとおりである。しかし、被告は、自分は会社の仕事に全力を注ぐから、妻である原告は家庭でそれを支えるべきである、これは普通の考えであるとして原告に接し、こに応じた原告の行動を求めてきたものであるところ、原告はその様な考えを当然と受け入れることかできず、被告の右考えに基づく行動に同調できず、特に幾度となく入院手術を受けることで体力が衰え、障害を抱えた身体では家事を十分にこなすこともできないと思うようになり、また、そのような原告の状態に十分な配慮をしてくれない被告と共に暮らしていく意思を失っていってしまったものである。これは、夫である被告が定年退職したことによる一時的なものではない。被告が平成七年に退職する前の、長男・・が結婚して独立した平成四年から家庭内別居が始まっているのである。その家庭内別居が始まってから七年、原告が自宅を出て別居してから一年近くが経過している。その間には家庭裁判所での調停もあった。しかしながら、離婚を求めている原告はもちろんのこと、これに反対している被告も夫婦関係を修復するための行動を取ろうとしてこなかった。」

 

として、夫婦関係が破綻していることを認め、夫に慰謝料として200万円を支払うよう命じました。

 

離婚や不貞以外の事由で、このような慰謝料を認めることは稀で、数少ない事案といえると思います。

 

慰謝料が認められるかどうかはおいといて、夫婦のあり方が、昔よりも多様化している中で、今後もこういう夫婦間の考え方の差異が問題となることは多くなるように思えます。

 

 

 

というわけで、本日も夫婦間の慰謝料についての判例をご紹介しました。

 

 

今週もあとちょっと。

 

 

なんとかのりきりましょう。

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