慰謝料~名誉毀損②~

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弁護士の佐藤です。

 

さて、本日も前回に続き名誉毀損が問題となった事案をご紹介していきたいと思いますが、本日は、政治家に対する名誉毀損が問題となった事案です。

 

 

具体的には、衆議院議員であり、自由民主党の幹事長であった原告が、被告が発行した日刊紙の二つの記事が原告の名誉を毀損したと主張して、被告に対し、精神的損害の賠償及び謝罪広告の掲載を求めた事案で、記事の内容としては、「それは恐ろしい政治的謀略」、「あの人に狙われてアラ探しされたらしい石原伸晃、山本譲司、森田健作」などの見出しを付したものや(本件記事1)、「これは・・自民党幹事長という曲者政治屋のシナリオ通りに丸めこまれた国民不在の自民党政治」などの見出しを付したもの(本件記事2)でした。

 

 

この点に関し、平成13年7月18日判決は、いずれの記事も原告の社会的評価を低下させるものと認定した上で、その額につき、

 

 

「そして、《証拠略》によれば、本格各記事は、いずれも『・・・・』紙の第一ないし第二ページに掲載され、しかも、同紙は、発行部数約一六五万部に及び、首都圏を中心とした広範囲で発行され、頒布されていること、また、本件各記事の内容は、原告の基本的政治姿勢に関して、前記一(一)及び(二)において認定の如く報ずるものであり、その記事中で用いられている用語、表現は、『それは恐ろしい政治的謀略』、『オオカミ老人』、『暗愚の為政者』を操る『奸臣』、『曲者政治屋』、『・・の眼中には国民などない。あるのは自らの権力欲と保身だけだ。』等激烈なものとなっていることが、それぞれ認められる。こうしたことに、本件各記事の内容が前記認定のとおりであること、原告は、現在も活動中の衆議院議員であること、その他本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、本件各記事により損なわれた原告の政治的、社会的評価は決して小さくないものであるというべく、本件により被った原告の精神的損害に対する慰謝料としては、五〇〇万円をもって相当と判断される。」

 

 

として、高額の慰謝料を認めた上、さらに、謝罪広告の点については、

 

 

「本件に現れた一切の事情を併せ考慮すると、毀損された原告の名誉を回復するためには、上記(一)の損害賠償のみでは足りないというべく、被告に対し謝罪広告を命ずる必要性があると判断される。そして、その広告の内容については、本件に現れた一切の事情を考慮すると、被告が発行する『・・・・』紙に、別紙一の一記載の謝罪広告を、同一の二記載の条件で一回掲載すべき旨を命ずるのが相当と判断される。」

 

 

としました。

 

 

政治家は通常、世論、マスコミから批判にさらされるものであり、そのような状況下で、500万円という高額な慰謝料と謝罪広告を認めた珍しい判例といえます。

 

 

まあ、前も言いましたが、表現の自由というのは、最大限保障されなければいけない重大な憲法上の権利であることに間違いはありませんが、昨今のマスコミの記事は、低俗でいい加減なものが多く、名誉やプライバシー権との調整の仕方も、昔と今で変わってきた面があると思います。

 

 

というわけで、本日も名誉毀損に関する判例のご紹介でした。

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