慰謝料~内縁関係の破棄~

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弁護士の佐藤です。

 

 

あっという間の金曜日でございます。

 

 

午前、午後とも、電話会議が入っておりまして、便利な世の中となっておるのですが、裁判のIT化というものが目下議論されておりまして、裁判所に行く機会というのは、今後さらに減っていくような気がしております。

 

詳細はよくわかりませんが、尋問なども、今後はテレビで行うとか。

 

どうやってやるのか想像もつきませんが。

 

 

で、本日も、慰謝料に関するお話をしていきたいと思うのですが、前回まで夫婦間の争いであったのに対し、本日は、内縁関係についての慰謝料についてお話したいと思います。

 

 

そもそも、内縁関係とは、実質的には夫婦でありながら、婚姻届けを提出していない男女のことをいいますが、内縁関係であっても、不貞や解消による慰謝料が問題となることが多々あります。

 

もっとも、その前提として、そもそも内縁関係が成立していのかがから問題となることが多いといえますが。

 

 

そして、本日紹介する事案は、妻子ある男性と未婚の女性が約30年間内縁関係を続けてきたあげく、男性が一方的に生活費を支払わなくなり、内縁関係を破棄したという事案で、東京地裁平成3年7月18日判決は、まず、男性である被告が結婚をしていたという重婚的内縁関係の場合、内縁の妻を法的に保護する必要があるかにつき、

 

 

「原告と被告とは内縁関係にあったものであるが、内縁関係を生じた昭和三〇年頃当時、被告には妻と子が四人いたのであり、原告との内縁関係は、いわゆる重婚的内縁関係に当たる。 前記認定のとおり、被告は、原告が肩書住所地に移転した後は、同所において原告と同居し、同所から出社するのが常態であった。また、妻・・が死亡する約半年前に原告及びその訴訟代理人弁護士・・・と面接し、被告との結婚に至った経緯、結婚後の経緯を述べたのを同弁護士が記録したところによれば、被告は、・・に対しても自ら求めて結婚したものの、一方で女性関係にはだらしのないところが窺われ、また、・・との離婚届けも、女性関係を整理する方便として押印を求め、押印を得るや時日を置かずに届け出をしていること、・・においても、原告と被告との関係を知る以前から、離婚を望んでいたものの、四人の子の養育費の負担等について被告の責任のある対応が得られないために離婚にまで至らなかったこと、・・と原告は、本来敵対する関係にあるが、・・においても、被告の女性関係の被害者の一人として原告に同情の念すら抱いていたことが認められる(・・と原告及び訴訟代理人弁護士との面会について、被告及びその長男は、陳述書等において、面会の事実が有り得る筈がないとの趣旨を述べるが、資格ある弁護士が特定の依頼者のために存在しない面会の記録を作成するような、犯罪ともなり得、又は職を失い兼ねない愚かな行為をしないことは常識に照らして明らかであり、また、記録された内容も、具体的で、・・本人でなければ知り得ない事実が見られ、被告や事実関係を知らない長男の感情的な反発によっては排除し得ないものを含むというべきである。)。」

 

 

として、被告とその妻との関係は、戸籍上は昭和五三年まで婚姻関係が継続していたものの、原告と被告が内縁関係に入るまでには、既に形骸化していたものと認めるのが相当とし、重婚的内縁関係であっても、妻との婚姻が形骸化していた場合には、内縁関係に相応の法的保護が与えられるべきであり、これを理由なく破棄することは、不法行為を構成するとしました。

 

 

そして、内縁関係の破棄については、

 

 

「被告が中小規模のタクシー会社の経営を基盤にしながら、正妻、原告及び・・にも長期間にわたって生活費を支給してきたこと、その金額は、被告の自認するところによれば原告に対して毎月五〇万円から六〇万円まで(被告は、これを一郎の養育費として支給してきたと主張する。)であることに鑑み、妻及び・・にもほぼ同額の金員を支給してきたものと認めうるのに加え、被告は、右の外に一郎の必要があるときには別に五〇〇万円から六〇〇万円の金員を支給してきたことをも自認している。また、被告は、・・の必要に備えるために同人を従業員としてこれに給与を支給しているかのように取り扱い三〇〇〇万円にもなったものの、税務当局の指摘を受け、目的を達せられなかったとも言う。」

 

とし、最終的に

 

「以上の次第で、本件における右認定の事情の下では、被告の資産をも考慮して慰謝料額を決定することはできないと言うほかなく、原告と被告が共に生活した期間が三○年にも及ぶこと、内縁関係の破棄が専ら被告の意向でされ、原告に責められるべき事情があるとは窺えないことなど諸般の事情を考慮し、慰謝料額は、一〇〇〇万円をもって相当とするものと定める。」

 

 

としました。

 

 

これまでもお話してきたとおり、夫婦間での離婚でもなかなか1000万円を越える慰謝料を認めることはなく、なぜここまでの高額な慰謝料になったのか、判例はいまいち判示していませんが、判例は、男性の資産を考慮して慰謝料を決定することはできないとしながらも、生活費の支払額を認定するなど、ある程度、男性の資力を事実上考慮して、これほどの金額になったのかと思います。

 

 

以前紹介した裁判にもありましたが、慰謝料を考慮する上では、離婚や内縁関係終了ごの男女の生活環境が慰謝料に多分に影響しているような気がしますね。

 

というわけで、本日は内縁関係の解消に関する慰謝料のお話でした。

 

 

週末も暑くなりそうなので、熱中症にはくれぐれも気を付けて、よい週末をお過ごしください。

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