慰謝料~不貞の相手方②~

038

弁護士の佐藤です。

 

さて、本日も慰謝料に関する判例をご紹介していきたいと思いますが、本日も前回に続き、不貞に関する判例です。

 

まず、事案ですが、原告は、訴外Aの妻であるが、夫であるAが被告と情交関係を持ち、いわゆる不倫関係となったことから、Aとの婚姻関係が破綻の危機に瀕して精神的損害を被ったとして、Yに対し慰謝料500万円の支払を請求したというものです。

 

 

この点、東京地裁平成4年12月10日判決では、

 

 

「被告は原告と・・とが婚姻関係にあることを知りながら・・と情交関係にあったもので、右不貞行為を契機として原告と・・との婚姻関係が破綻の危機に瀕し原告が深刻な苦悩に陥ったことに照らせば、原告がこれによって被った精神的損害については不法行為責任を負うべきものである。しかしながら、婚姻関係の平穏は第一次的には配偶者相互間の守操義務、協力義務によって維持されるべきものであり、不貞あるいは婚姻破綻についての主たる責任は不貞を働いた配偶者にあるというべきであって、不貞の相手方において自己の優越的地位や不貞配偶者の弱点を利用するなど悪質な手段を用いて不貞配偶者の意思決定を拘束したような特別の事情が存在する場合を除き、不貞の相手方の責任は副次的というべきである。」

 

とした上で、

 

 

「その他本件において認められる一切の事情を考慮すれば、本訴において認容すべき慰謝料額は金五〇万円をもって相当と認める(ところで、原告の被った精神的苦痛に対しては、・・も不法行為に基づく損害賠償債務を負うことが明らかであるところ、被告の義務と一郎の義務とは重なる限度で不真正連帯債務の関係にあって、いずれかが原告の損害賠償債権を満足させる給付をすれば他方は給付を免れ、給付をした者は他方に対して負担割合(本件においては、一郎の負担割合は少なくとも二分の一以上と認められる。)に応じて求償することのできる関係にある、と解される。)。」

 

 

としました。

 

 

本件は50万円と、低い金額となっておりますが、理由としては、上記のとおり、不貞の相手方の責任は副次的というべきであること、すでに夫婦関係が修復されていること、夫の不貞相手の関係が切れていること、関係を切ったのは、被告が主体的に行ったことなどが理由とされており、特に、夫婦関係の修復がなされていることが大きな要素となったものを考えられます。

 

 

 

夫婦関係が修復された上での不貞相手への慰謝料請求という珍しい事案でした。

 

ページの先頭へ