慰謝料~プライバシー侵害~

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弁護士の佐藤です。

 

今週もはじまりました。

 

 

さて、本日も慰謝料に関する判例をご紹介していきたいと思うのですが、本日からは、プライバシー侵害が問題となった事案をご紹介していきます。

 

そもそもプライバシーとは、私生活上の事柄をみだりに公開されない法的な保障と権利とされており、最高裁が正面からプライバシー権を認めたものはないものの、これから紹介する最高裁判例での前科など、プライバシー権を否定するような態度はとっておりません。

 

そして、プライバシー権が問題となる事案の多くは、出版等でございまして、憲法上保護されるプラバシー権と憲法上の権利である表現の自由との対立といえます。

 

 

そして、本日ご紹介する事案は、被告が著作した「逆転」と題するノンフィクション作品で原告の実名が使用され、その素材となった刑事事件につき、原告が有罪の実刑判決を受けて服役したという、その前科にかかわる事実が公表される結果となったことから、原告が、プライバシーの侵害を理由に、被告に対し、慰謝料300万円の支払を求めたというものです。

 

 

この点、最高裁平成6年2月8日判決は、まず、プライバシー権の侵害となるか否かの判断基準につき、

 

「前科等にかかわる事実については、これを公表されない利益が法的保護に値する場合があると同時に、その公表が許されるべき場合もあるのであって、ある者の前科等にかかわる事実を実名を使用して著作物で公表したことが不法行為を構成するか否かは、その者のその後の生活状況のみならず、事件それ自体の歴史的又は社会的な意義、その当事者の重要性、その者の社会的活動及びその影響力について、その著作物の目的、性格等に照らした実名使用の意義及び必要性をも併せて判断すべきもので、その結果、前科等にかかわる事実を公表されない法的利益が優越するとされる場合には、その公表によって被った精神的苦痛の賠償を求めることができるものといわなければならない。」

 

 

とした上で、本件については、

 

 

「本件著作が刊行された当時、被上告人は、その前科にかかわる事実を公表されないことにつき法的保護に値する利益を有していたところ、本件著作において、上告人が被上告人の実名を使用して右の事実を公表したことを正当とするまでの理由はないといわなければならない。そして、上告人が本件著作で被上告人の実名を使用すれば、その前科にかかわる事実を公表する結果になることは必至であって、実名使用の是非を上告人が判断し得なかったものとは解されないから、上告人は、被上告人に対する不法行為責任を免れないものというべきである。」

 

 

とし、慰謝料として、50万円の支払いを命じた原審を維持しました。

 

 

プライバシー権の問題は、以前、憲法の判例紹介のときにもお話してきたところではありますが、本件でいう50万円という慰謝料の根拠が、どの判例もいまいちはっきりしない面がございます。

 

プライバシー侵害等の事案では、出来る限り多くの事案をご紹介し、認容額について検討できたらと思っております。

 

 

ではでは、今週も気合いをいれてがんばります。

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