慰謝料~プライバシー侵害③~

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弁護士の佐藤です。

 

 

さて、本日も前回同様、プライバシー侵害に関する判例をご紹介していきたいと思います。

 

 

まず事案ですが、原告が、被告の発行、販売にかかる雑誌に掲載された記事及びこれについての新聞広告等により、破廉恥な犯罪の被疑者として逮捕された新聞記者としてマスコミで騒がれていた夫の配偶者であること及び勤務先等の私的事項を虚実ないまぜに公開され、プライバシー権を侵害されたとして、慰謝料請求したものです。

 

この点に関し、東京地裁平成7年4月14日判決は、

 

 

「一般に、犯罪事実の報道が公共の利害に関するものとされる理由は、犯罪行為ないしその容疑があったことを一般公衆に覚知させて、社会的見地からの警告、予防、抑制的効果を果たさせるにあると考えられるから、犯罪事実に関連する事項であっても無制限に摘示・報道することが許容されるものではなく、摘示が許容される事実の範囲は犯罪事実及びこれと密接に関連する事実に限られるべきである。したがって、犯罪事実に関連して被疑者の家族に関する事実を摘示・報道することが許容されるのも、当該事実が犯罪事実自体を特定するために必要である場合又は犯罪行為の動機・原因を解明するために特に必要である場合など、犯罪事実及びこれと密接に関連する場合に限られるものと解するのが相当であり、犯罪事実に関する社会公共の関心と本来犯罪行為と直接関係がない被疑者の家族のプライバシーの調整は、右の限度において図られるのが相当である。本件の場合、・・証人の前記証言のとおりに・・・・とその妻との関係を明らかにすることが本件の原因を探るうえで不可欠であるとしても、妻である原告の勤務先、学歴、職歴、年齢等を具体的に特定して報道することまでが・・・・の被疑事実に関連する事柄として必要であったとは到底認められない。」

 

とし、

「したがって、本件記事及び本件広告の表現内容・表現方法の適否等に立ち入って検討するまでもなく、本件のプライバシー権侵害の違法性が阻却されるとの被告の主張は失当であり、本件記事及び本件広告は、原告のプライバシー権を違法に侵害するものであるといわざるを得ない。」

 

としました。

 

 

そして、最終的には、500万円の請求に対し、慰謝料として、100万円を認容しています。

 

 

本件は、被疑者ではなく、その家族のプライバシーがどこまで守られるかという意味で参考になる事案ですが、金額としては、よく言われることですけど、週刊誌の売り上げに比べると、低すぎないかと率直に思います。

 

 

というわけで、本日もプライバシー侵害に関する慰謝料のお話でございました。

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