慰謝料~ストーカー行為~

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弁護士の佐藤です。

 

久しぶりによいお天気です。

 

さて、本日も慰謝料に関する判例をご紹介していきたいと思うのですが、これまでの事案が、夫婦間の問題であったのに対し、本日は、男女間の問題でも、ストーカーに関する判例をご紹介していきたいと思います。

 

 

まず、事案ですが、原告は、妻子ある男性である被告と知り合い、性的関係を持ち、交際料をもらうという関係を四年間続けていたものの、その後、解消を申し入れたのに対し、被告が原告を執拗に追い掛け回し、尾行、待ち伏せ、電話、手紙、面談における脅迫等を繰り返すなどして付きまとったため、被告の行為は原告の平穏な生活・プライバシーを侵害する不法行為であると主張して、慰謝料として300万円及び弁護士費用として75万円を請求したというものです。

 

 

この点に関し、東京地裁平成10年11月26日判決は、

 

 

「原告が平成八年一二月二日にそれなりの理由を告げた上で、明確に従前の交際関係解消の申入れをし、また、平成九年三月一九日にも第三者を介して、重ねて右関係解消の申入れをしたにも拘わらず、『人間関係は一方的に切れるものではない。』などとして容易に納得しようとせず、関係を終わらせるとしても、四年間経済的援助を受けるなどして世話になった被告に対し、大人として右四年間の重さを踏まえ、被口と二人で話し合って、関係解消の理由を説明すべきであるなどとして、話合いを求めて、手紙、電話、張り込みないし待ち伏せの方法により、繰り返し原告との接触を図ったものであることが窺われる。右のような被告の原告との接触の動機は、無理矢理復縁を迫るというものではないものの、それなりの理由を告げて関係解消を申し入れている原告の立場ないし気持ちを全く酌んでおらず、右原告が話した交際解消理由の内容・その説明の程度や従前の原告と被告との交際目的、被告自身の家族関係(被告は妻子ある身であること)等に照らして考えると、被告が原告に対しこの上さらなる話合いを求めるというのは、原告に対する執着心が顕在化したものとして些か独善的であって、決して正当化されるものとはいえない。そして、原告からは全く連絡を入れず、面談することも一切拒否している状態の中て、原告の明確な意思に反して、本件マンションないし原告自宅前と、勤務先会社前や原告が通勤する際に利用する駅とに予め出向いて張り込みないし待ち伏せして、繰り返し原告の前に現われて接近し、原告に付きまとった被告の一連の行為は、その具体的態様と頻度にかんがみると、原告にとっては毎度不快感・嫌悪感や不安感を抱かされ、私生活において多大の苦痛を被らされるものにほかならない、著しく執拗かつ迷惑なものであって、もはやいわゆる男女交際の延長のものとはみられず、原告が受忍すべき限度を超えたものと評価される。したがって、被告の原告に対する面談を求めての前記張り込みないし待ち伏せ、付きまといの一連の行為は、その間の電話、手紙による原告に対する接触も含め全体として、何人にもプライバシーを侵されずに平穏な生活を送ることができるという原告の人格を侵害するものとして違法性を帯び、不法行為を構成するものというべきである。」

 

として、慰謝料については、

 

「原告と被告のそれまでの交際関係・交際期間、原告の交際解消の理由とその説明の程度、被告が原告に接触を図った動機、付きまとい行為の期間・態様、これに対し原告がとらざるを得なかった対応、原告・被告の年齢等、本件に現われた一切の事情を考慮すると、被告に賠償させるべき原告の慰謝料は、五○万円とするのが相当である。」

 

 

 

と判示しました。

 

 

本件は、男性が女性に対し、交際を迫るというものではなく、説明等を求めるという付きまとい行為が不法行為となるか否かにつき、受忍限度をこえるかどうかという物差しで、被告の不法行為責任を認めたもので、受忍限度を超えるかどうかというのは、主観的な評価をともなうため、非常に難しい判断が必要になるかと思いますが、執拗なつきまとい行為に不法行為を認めつつも、妻子ある男性と交際していたという事実が、請求額に対し、50万円という比較的低額な認容額に影響しているのではないかと思われます。

 

 

 

というわけで、本日はストーカーに関する判例のご紹介でございました。

 

今週もあとちょっと。

 

なんとかがんばりましょう。

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