慰謝料~ストーカー行為②~

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弁護士の佐藤です。

 

今週もあっという間の金曜日でございます。

 

さて、本日も慰謝料に関する判例のうち、前回に続き、ストーカー行為に対する慰謝料が問題となった事例をご紹介したいと思います。

 

まず、事例ですが、本件は、歌舞伎役者である原告が、被告に対し、歌舞伎を演じる権利等を著しく侵害されたとして、人格権に基づき、原告が出演する劇場への立入禁止、原告の身辺へのつきまといの禁止、名誉毀損等の言動の禁止及び不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料300万円の支払を求めたというものです。

 

 

いわゆる芸能関係に対するストーカー行為の事案というのは、話ではよく聞きますが、実際に裁判まで行くというのは珍しいのではないでしょうか。

 

 

この点に関し、大阪地裁平成10年6月29日判決は、

 

 

「被告は、原告のファン等に対し、原告と婚約しており、近々結婚するなどと虚偽の事実を流布して名誉等を毀損したほか、原告に執拗につきまとい、異常な態度で観劇するなど、通常のファンの域を超えた言動により、原告に対し著しい苦痛を与えており、右言動は、原告が人気商売の歌舞伎役者であることを考慮しても、原告の受忍すべき限度を著しく超えているものと認めることができるから、原告は、人格権に基づき、被告に対し、原告が出演する劇場への立入禁止、原告の身辺へのつきまといの禁止及び名誉毀損等の言動の禁止を求めることができるものというべきである。」

 

として、

 

「被告の右言動は、原告の名誉等を侵害するものであり、不法行為にあたるものと認められるところ、本件に現われた一切の事情を考慮すると、慰謝料は五〇万円が相当である。」

 

 

としました。

 

 

いわゆるファンの追っかけにとどまるのか、受忍限度を超えた不法行為となるかについても、なかなか難しい判断になると思いますが、本件は、観劇禁止の仮処分が出た後も、被告が無視をしたなどの事情もあり、度を超えたものとして、不法行為責任を認めつつ、原告が人気歌舞伎役者であることから、慰謝料額を減額したのではないかと思われます。

 

 

なお、本件は、慰謝料以外にも、以下の

 

一 被告は、原告が出演する劇場に立ち入ってはならない。 二 被告は、原告の所在地から半径二〇〇メートル以内の近隣を徘徊して、原告の身辺につきまとってはならない。 三 被告は、原告の支持者等の第三者に対し、原告の名誉や信用を毀損したり、業務を妨害する言動に及んではならない。

 

 

 

 

という主文を言い渡す珍しい判決となっております。

 

 

というわけで、本日もストーカー行為に関する判例をご紹介しました。

 

 

今夜から明日にかけて天気が崩れるようですが、皆様、よい週末をお過ごしください。

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