強盗致傷罪~脅迫からの致傷~

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弁護士の佐藤です。

 

今週もはじまりました。

雨で、生暖かい1日です。

 

さて、本日も刑法に関する判例のうち、本日は強盗致傷罪に関する判例をご紹介します。

まず前提として、刑法240条は、

 

強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

 

と規定し、酌量減軽がなければ、必ず実刑になるという日本の刑事罰の中ではとても重い罪名となっております。

 

そして、本日ご紹介する事案は、被告人が、強盗の意思に基づき、被害者の左手とその運転するミニバイクのハンドルを手錠で連結固定する等の暴行・脅迫を加えてその反抗を抑圧したうえ、同人に「倒れろ」と命じて転倒のやむなきに至らしめ、同車のかごに入つていた現金等を強取したのですが、その際、左肘部打撲挫切創等の傷害を負わせたというものです。

 

この裁判で争われたものは、脅迫行為から致傷の結果が生じた場合でも強盗致傷罪は成立するのかという問題です。

 

この点、大阪高等裁判所昭和60年2月6日判決は、

 

「所論は、強盗致傷罪が成立するためには、傷害の結果が強盗の手段として用いられた暴行にもとづいたものでなければならないというのであるが、所論のように傷害の結果が強盗の手段たる暴行から生じた場合はもちろんであるが、判例(最判昭和二五年一二月一四日刑集四巻一二号二五四八頁)は、これに限らず、強盗の機会においてなされた行為によつて致死傷の結果を生じたときにも同罪の成立を認めているのであつて、強盗の手段たる脅迫によつて被害者が畏怖し、その畏怖の結果傷害が生じた場合に、強盗致傷罪の成立を否定すべき理由はないというべきである。」

 

とし、本件については、

「本件の場合、被告人は前示のとおりの暴行、脅迫を加えて被害者の反抗を抑圧し、意思の自由を失つている被害者にさらに「倒れろ」と命じ、被害者は命じられたとおりにしなければ殺されるかもしれないと畏怖してミニバイクもろとも路上に転倒したことによつて傷害を負ったもので、被告人が右のように反抗抑圧状態にある被害者に「倒れろ」と命じる所為は、強盗罪における脅迫に当たるというべきで、それは強盗の実行中に強盗の手段としてなされたものであることは明らかであり、被害者の傷害は被害者が畏怖したことに起因するものであるから、強盗の手段たる脅迫によつて傷害の結果を生じたものとして強盗致死罪の成立を認めるのが相当であり、傷害の程度も所論のように軽微ではなく、強盗致傷罪における傷害に当たることに疑いはない。」

として、強盗致傷罪の成立を認めました。

 

なお、第1審判決も強盗致傷罪の成立を認めていますが、第1審は、「倒れろ」という行為を暴行と評価しているのに対し、控訴審は、上記発言をあくまでも脅迫行為としながら、強盗致傷罪の成立を認めております。

 

 

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