弁護士雑感

弁護士の佐藤です。

昨日の新聞で、首都圏でステーキ店チェーンを展開する店の店長だった男性が自殺したのは過酷な長時間労働と上司によるパワーハラスメントが原因だとして、両親が同社などに約7300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は、約5790万円の支払いを命じる判決をだしました。そして、東京地裁は、自殺した本人に過失はない、として賠償額の過失相殺をしませんでした。

判決理由では「数カ月に1日程度の休みしかなく、長時間労働とパワハラによる強い心理的負荷で精神障害を発症させた」と判断し「業績向上を目指すあまり、適切な労務管理ができる態勢を取っていなかった」と会社の姿勢を批判しております。

判決によると、自殺前の7カ月間の残業時間は月平均190時間を超えており、社長個人についても「長時間労働などを簡単に認識できたのに何ら有効な対策を取らなかった」と賠償責任を認めめました。上司のパワハラも「許される行為ではなく、責任は免れない」と非難しました。

これまでの過労自殺に関する裁判では、最近の傾向として会社の責任を認めながらも一定の過失相殺をすることが多かったといえるでしょう。

つまり、労働者の性格や業務のやり方、家族関係等を考慮して、労働者にも一定の落ち度を認定し、損害賠償額から労働者の過失分を減額してきたのです。

そういう意味では、今回の東京地裁の判決は非常に画期的といえるでしょう。

しかし、それだけ、労働条件が劣悪であったとも言え、なんともいえない複雑な気持ちにもなります。

こういった判例を積み上げていくことで、劣悪な労働環境で働く労働者の救済になればいいし、さらには、会社側がも労働条件を今一度考え直す機会になればいいと思います。

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