弁護士雑感

003

弁護士の佐藤です。

先日法科大学院の定員割れのニュースがありました。

現在の法曹界、特に入り口のところは、悲惨な状況にあります。

そもそもの発端は、司法制度改革審議会の意見書(平成13年6月13日内閣提出)にあります。この意見書では、平成22年には、司法試験合格者を3000人にし、法曹人口を全国で5万人規模にしようとするものです。理由としては、経済・金融の国際化の進展、人権、環境等の地球的課題知的財産権、医療過誤、労働関係等の専門的知識を要する法的紛争の増加等があげられました。

しかし、蓋をあけてみると、全裁判所の新受件数は、平成13年度の約563.2万件・平成22年度は431.8万件と減少、これを弁護士一人当たりに換算すると、平成13年度が約308.7件、平成22年度が149.8件です。実際に弁護士が関与した裁判・調停の件数は、平成13年度の約32.6万件から平成22年度の49万件と増加しているものの、これを弁護士一人当たりでみると、当然、弁護士の数が増えているので、平成13年度が18件、平成22年度が17件と、弁護士一人当たりの新受件数、裁判調停の件数とも、平成22年度が減少しています。

つまり、司法制度改革審議会の意見書における弁護士の数を増やす理由は完全に破綻しているのです。これには様々な理由があると思いますが、一つには、争いを好まないという国民性も十分に影響していると思います。

そして、法科大学院が乱立し、当初の考えていた合格率とは大幅に異なる低い司法試験の合格率では、法曹会を目指そうという人が減少することはむしろ当然のことと言えます。

今後としては、法科大学院のあり方の見直しは急務と言えます。また、個々の法科大学院の存続も大幅に変わっていくでしょう。

私自身、法科大学院を出たわけではありませんが、法科大学院制度の理念は十分に理解できるものです。

適切な数の法科大学院の中で、適切なプログラムを組み、質のよう法曹家が増えることを願っています。

 

ページの先頭へ